撮影は、パリ6区の人気ビストロ「Le Petit Saint Benoit」や11区の有名カフェ「Café Charbon」、「Le Pure Café」などで行われた。——最後は、パリではなくマヨルカ島で撮影を。それは何か意図するところがあったのでしょうか?
「僕自身、最後は4人が集まりたいなというのがまずありました。そのラストは、ロケで光に溢れている、明るいシーンで、自然が人間の感情に影響を及ぼしているような画を想像していたんですね。ですから、そこまでのシーンは粒子の粗い16mmフィルムで撮っていたんですけれども、マヨルカ島のシーンは35mmフィルムで撮っています。35mmフィルムは鮮やかさ、豊かさを撮れる、そういうクオリティがあるので。ラストシーンをどうするかというところにおいては、作者は登場人物を不幸にするか救うかっていう2つの選択肢があるわけですよね。僕自身は、それを不幸にするのは残酷だろう、どちらかといえば希望を与えて終わりたい、そういう境地に達したんです」
——2組の夫婦の会話が、とにかく面白い最後のシーン。すべて脚本に書かれていたセリフですか?
「すべて書かれていました。ホントはもっとアドリブがあるかなと思っていたんですけれども、今回はコメディですよね。コメディって、言葉のリズムであるとか言葉のチョイス、間などでコミカルなものが出るか出ないか決定されていきます。だから、その場で変えてしまうとコミカルな部分が消えてしまったりもするので、わりときちんと計算して書いて、セリフを話してもらっていました」
オリヴィエ・アサイヤス/Olivier Assayas
映画監督・脚本家
1955年1月25日生まれ、パリ出身。画家・グラフィックデザイナー、映画批評誌『カイエ・デュ・シネマ』編集者を経て、映画監督・脚本家に。長編デビュー作の『無秩序』がヴェネツィア国際映画祭で国際批評家週間賞を受賞。近年の主な長編作に映画『アクトレス 女たちの舞台』、カンヌ国際映画祭コンペティション部門監督賞受賞作『パーソナル・ショッパー』などがある。
『冬時間のパリ』
監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス
出演:ジュリエット・ビノシュ ギョーム・カネ ヴァンサン・マケーニュ クリスタ・テレ ノラ・ハムザウィ パスカル・グレゴリー
配給:トランスフォーマー
12月20日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
公式サイト
http://www.transformer.co.jp/m/Fuyujikan_Paris/ⒸCG CINEMA/ARTE FRANCE CINEMA/VORTEX SUTRA/PLAYTIME