白夜祭前半のハイライト、「赤い帆のセレブレーション」。花火が打ち上げられる中、街の中心を流れる運河・ネヴァ川を赤い帆を揚げた船が1時間ほどかけてゆっくりと行き来する。人々は川べりや橋の上、川沿いの建物の中や屋上などから観賞できる。昼と夜が溶け合う白夜の数時間
街はひときわ輝きを増す
中心部に運河が流れ、ベネチアに並ぶ水の都とも称される美しき街、サンクトペテルブルク。
毎年白夜の時期の約2か月間、ここで誕生したマリインスキー劇場が保有する3つの劇場を中心に、大小合わせて200近くの公演が繰り広げられる芸術祭が、「白夜祭」(Stars of the White Nights/白夜の星音楽祭)です。
日付が変わる時刻になってもなお空がほんのりと明るく、特別なオーラと輝きに包まれる季節。街は神々しいほどに美しく、訪れた人々をたちまち虜にします。
写真はネヴァ川から見たこの街の芸術的シンボル、エルミタージュ美術館。街全体が光のベールで包まれたような、6月下旬、21時頃の様子。18世紀初頭にピョートル大帝によって築かれて以来、ロマノフ王朝の勢力の伸展とともに栄華を極め、サンクトペテルブルク(=聖ペテロの街)からペトログラード、ソ連時代にはレニングラード、そしてソ連崩壊後再びサンクトペテルブルクと都市の名前が変わっても、芸術を愛し、文化を高めようという気運に満ちた街の空気が変わることはありません。
1990年、「サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群」として、世界文化遺産に登録。世界中からの憧憬は高まるばかりです。
日本からサンクトペテルブルクへは飛行機の直行便がないため、モスクワかヨーロッパの都市での乗り継ぎが必要。(例:モスクワやヘルシンキから約1時間)。日本から電話をかける際のロシアの国番号は「7」。1ロシア・ルーブル(RUB)=1.7円(2019年11月8日現在)。暮れなずむ街を眺めながらの至福のひととき。世界中から集った人々が、感動を求め街に繰り出す
ロシアの中でも、首都モスクワに次ぐ大都市であるサンクトペテルブルクが、いっそう国際色豊かになる白夜祭シーズン。
劇場のホワイエで、街角のカフェで、運河をゆく観光船のデッキで、みな思い思いに前日観たバレエの感想や、これから幕が開くオペラへの期待について語り合います。
聞こえてくる言語はさまざまながら、そこには人種や国境を超えた、芸術を愛する心でつながる独特の空気が流れ、街全体が高揚感に包まれます。
これこそが、白夜祭の芸術総監督ワレリー・ゲルギエフが目指す、白夜祭の理想の姿なのです。
※白夜祭の様子は、以下のフォトギャラリーをスワイプしてご覧ください。
「サンクトペテルブルク 美しき『白夜祭』」への旅
本特集の感動をそのままに体験できる、「サンクトペテルブルク 美しき『白夜祭』」への旅にご一緒しませんか? この度、2020年6月にロシア・サンクトペテルブルクで行われる「白夜祭」に、みなさまをお連れするツアーを開催いたします。
ツアーの詳細はこちらの記事よりご覧ください>>> 撮影/阿部 浩 取材協力/ジャパン・アーツ コーディネーター/Natalia Goryacheva
『家庭画報』2020年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。