初詣(内宮)【1月1日】初詣——はつもうで
清々しく念ずる1年の計
1月1日午前0時を迎えた内宮・外玉垣南御門(とのたまがきみなみごもん)の御帳前(みとばり)。
年明け早々にお参りしたい参拝者は、大晦日の午後11時過ぎから御正宮(ごしょうぐう)前の石段下で待機し、0時になると石段を上る。
1月1日朝の御正宮前の石段。多くの人々が参拝を待ちながら1段ずつ上っていく。カウントダウンの掛け声などはもちろんなく、静かに新年を迎える。
伊勢神宮の正宮には賽銭箱が置かれていないが、白布を貼った箱にお供えできるようになっている。
上の写真は別宮の風日祈宮(かざひのみのみや)。
第2鳥居をくぐり、内宮神楽殿(かぐらでん)お神札(ふだ)授与所前で参道を右折し風日祈宮橋を渡った右手に鎮座する。
御祭神は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の御子神で、風雨を司る神、級長津彦命(しなつひこのみこと)、級長戸辺命(しなとべのみこと)。
農作物に大きな影響を与える神は、御正宮に準じて丁重にお祭りされる。ここにも多くの人々が参拝している。
特に内宮は、約800メートルの玉砂利の参道を歩いて参拝するため、晴れ着の人は少ないが、着付け教室の生徒さんだという、美しい和装の参拝者に出会った。内宮には、ほかに別宮の荒祭宮(あらまつりのみや)と10の所管社があり、外宮にも、御正宮のほかに4の別宮、1の摂社と末社、4の所管社がある。
内宮と外宮の敷地外にも別宮、摂社、末社、所管社があり、内宮と外宮を合わせ、合計で125社を数える。
歳旦祭(内宮)
黒の冠(かんむり)に白の斎服(さいふく)、黒の浅沓(あさぐつ)を身につけた神職が内宮前の石段を上る。歳旦祭は外宮ではまだ暗い早朝4時から、内宮ではほの明るい朝7時から行われる。【1月1日】歳旦祭——さいたんさい
新玉の年の始めを祝い祈りを捧ぐ
歳旦祭は、年間合計1500回以上も行われる祭事のうち、新年最初に行われるお祭りです。
年の始を寿ぎ、皇室弥栄(いやさか)、五穀豊穣、国家繁栄、国民平安を祈ります。
神職が担ぐ辛櫃(からひつ)に収められているのは、最も大切とされる若水、御飯(おんいい)、御塩(みしお)の三種の御物(おもの)に加え、
鰒(あわび)をはじめとする海、山、川、野のもの、御酒などの御贄(みにえ)。神様の食事、神饌(しんせん)です。
御水は、毎日早朝に外宮の奥にある上御井神社(かみのみいのじんじゃ)で汲み上げられますが、元日の早朝に汲んだものは、特に若水と呼ばれます。
まずは内宮前の石段の向かいにある御贄調舎(みにえちょうしゃ)にて、天照大御神の御食事を司る御饌都神(みけつかみ)である外宮の豊受大御神(とようけのおおみかみ)をお迎えし、鰒をととのえる儀式が行われます。
その後、写真のように石段を上り、御正殿の天照大御神に捧げます。
神宮内にはお正月を祝う特別な飾りは一切なく、歳旦祭も恒例祭典の1つにすぎません。
そのことにより新年の清々しさがいや増す、伊勢神宮ならではのお正月です。