元始祭(外宮)
外宮の板垣南御門から御正宮内に入る参進の列。松明と提灯の明かりに浮かび上がる姿は、幽玄そのもの。鳥の声すらなく、浅沓が玉砂利を踏みしめる音のみが聞こえる。【1月3日】元始祭——げんしさい
皇室の元始(はじまり)を祝し弥栄(いやさか)を願う
伊勢神宮のほとんどすべてのお祭りは、まず豊受大御神をお祀りする外宮(豊受大神宮)から先に行われ、次に、皇祖神であり、日本人の総氏神である天照大御神をお祀りする内宮(皇大神宮)で行われます。
元始祭は、通常のお祭りよりも、より皇室に近いもの。新年にあたり、天皇陛下が皇居の宮中三殿(賢所(かしこどころ)、皇霊殿(こうれいでん)、神殿(しんでん))において、
天津日嗣(あまつひつぎ=皇統)の元始をお祝い奉るお祭りを行われるのに合わせて、神宮でも、皇位の無窮をお祈りするお祭りが奉仕されます。
朝4時から行われる外宮では、出仕が手にする松明と、衛士が持つ提灯の明かりのみで執り行われ、内宮では、朝7時の淡い光のもとで行われます。
元始祭(内宮)
朝の蒼白い光のなかを、白の斎服に身を包み、笏(しゃく)を手にした神職が進む。背後は第二鳥居。まっすぐに御正宮前の石段下に向かう。浅沓を履いた神宮の神職の参進は、全員の足並が揃う。神職が参道を進み、神のもとに向かうことを参進(さんしん)といいますが、その歩くスピードの速いこと、
衛士が参道にいる参拝者を静かに脇に誘導する手際のよさを見るにつけ、日々、心を尽くして営々と神に祈りを捧げ続けている“日本人の心のふるさと”たる伊勢神宮に、心強さと感謝を覚えずにはいられません。