一月十一日御饌(内宮)
伊勢神宮125社に祀られているすべての神々に奉献する大御饌をお祓いする儀式。背後に見えているのは忌火屋殿。このあと、御正宮内の四丈殿でお祭りされる。【1月11日】一月十一日御饌——いちがつじゅういちにちみけ
神宮125社の神々が一堂に集う“新年会”
お正月の賑わいが少し落ち着いた頃、一月十一日御饌が行われます。
これは、内宮、外宮を含めた125社に祀られる、すべての神様に御饌を奉じるお祭り。
忌火屋殿(いみびやでん)前での大御饌のお祓いは拝見することができますが、1年に1度、神々が集い、豊受大御神、天照大御神とともに御饌をきこしめす“新年会”は、御正宮内の四丈殿(よんじょうでん)で密やかに行われます。
そのご様子は想像するしかありませんが、おそらくにぎにぎしく、晴れやかなものであることでしょう。
東遊(内宮)
6人の舞人。舞の後半で小忌衣(おみごろも)の片袖を脱ぐ。太刀(たち)を帯び、足もとは浅沓ではなく、糸で組んだ糸鞋(しかい)を履く。【1月11日】東遊——あずまあそび
日本古来の歌舞を神々に捧げる
その後、神楽殿の隣にある五丈殿で、古式ゆかしい歌舞が神々へと捧げられます。この様子は拝見できます。
演奏されるのは、一歌、二歌、駿河歌、求子歌(もとめごうた)、大比礼歌(おおひれうた)からなる歌舞組曲で、京都の葵祭でも演奏されています。
雅楽を専修する神宮の楽師が篳篥(ひちりき)、高麗笛(こまぶえ)、和琴(わごん)を演奏し、拍子と歌をつける。伊勢神宮は、宮内庁楽師と同様、雅楽を専修する楽師が在籍する数少ない存在。
舞は駿河歌と求子歌につき、ゆったりとした歌に合わせて、6人の舞人が優雅に舞います。
舞人は楽師が務めますが、これも特別な稽古などはなく、見て、自然に覚えて身につけるといいます。
巻纓(けんえい)の冠に季節の花の挿頭(かざし)を飾り、こめかみのあたりに馬の尾の毛を編み半月形に開いた緌(おいかけ)をつけた舞人。※以下のフォトギャラリーを左右にスワイプして、ご覧ください。
伊勢神宮のお正月 おもな祭事と行事
【12月31日】
大祓
内宮 御手洗場付近 15時頃
大篝火
外宮 18時頃点火 内宮 20時頃点火
【1月1日】
歳旦祭
外宮 4時頃
内宮 7時頃
神馬牽参
外宮 8時頃
内宮 8時頃
初日の出
7時(内宮宇治橋前から見えるのは8時頃)
【1月3日】
元始祭
外宮 4時頃
内宮 7時頃
【1月11日】
神馬牽参
外宮 8時頃
内宮 8時頃
一月十一日御饌
内宮 四丈殿 10時頃
東遊
内宮 五丈殿 13時頃
撮影/小野祐次 構成・文/安藤菜穂子
『家庭画報』2020年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。