5.集えるラウンジカー。ここでの出逢いが一生ものになることも。
“新たな人生にめぐり逢う旅”がテーマの「ななつ星」。それを最も象徴するのがラウンジカーです。昼夜を問わず自由に乗客がくつろげるようにと、設えられた調度品はほぼすべて特注というこだわりよう。一緒に乗り合わせたかたやクルーとの語らいを通じ、その出逢いが一生ものになるかたもいるほどです。
「ブルームーン」と名づけられたラウンジカーは、昼はティータイムも楽しめる休憩場になり、夜にはバーになります。ここは、お客さま同士の社交場であり、一人でのくつろぎの場。6.車両はさながら美術館。列車とは思えない装飾に驚きます。
「ななつ星」は車両ごとに雰囲気が異なり、そこかしこにアートが飾られ、本物の手仕事ならではのオーラが車内に漂います。九州の匠の技が詰まった車両は、“走る工芸品”といっても過言ではありません。
サニタリールームの洗面鉢はなんと有田焼。故14代酒井田柿右衛門の作品で、全室異なるデザインが配されています。写真は701号室の「円縁 魚藻文」。廊下の建具のほか、客室の障子や窓にも採用されている「大川組子」。細い木材で細かく模様を組み込むデザイン性の高い伝統技法が、モダンな和のニュアンスを感じさせ、世界でここにしか存在しない車両を生み出しているのです。7.車内で聴ける生演奏。好きな曲をリクエストできるんです。
ディナーの後にはヴァイオリンとピアノの美しい音色がラウンジカーから響き始めます。乗客からのリクエストにその場で応えることもあるといいます。これもまた、思い出に残る時間を車内で過ごしてもらいたいという「ななつ星」ならではのおもてなしです。
1号車にあるラウンジカーで行なわれるヴァイオリンとピアノの生演奏。演奏者はこのために「ななつ星」に乗り込み、旅に彩りを添えるのです。 写真/frap. Inc 福島啓和 本誌・坂本正行