ジュエリーの枠を超えた芸術作品
印象派の絵画のような優しい色の組み合わせ、ボリュームがあるのに軽やかなデザイン、ネックレスに生命を吹き込むトレンブランのテクニック。女性の心を虜にする圧倒的な魅力があります。ネックレス「ブーケ デル」(WG×YG×PG×ベリル×トルマリン×モルガナイト×ダイヤモンド×イエローサファイア×パープルサファイア×ピンクサファイア×スペサルティンガーネット)6309万909円(参考価格)/ブシュロン ●お問い合わせ/ブシュロン クライアントサービス TEL:0120-230-441ブランドの真髄をあらゆる面から感じる作品
解説/山口 遼 (宝石史研究家)
ブーケ デル──羽根の花束とでも訳しますか──と名付けられたネックレスは、「ブシュロン」が誇るデザインや技術がぎっしりと詰まった傑作です。
まずはブシュロンならではのクエスチョンマークの形。
その上にぎっしりと、大小さまざまな色石と、同じ色石のパヴェ留めを応用して、蝶々、トンボ、孔雀などの羽根をデザインしたものを数多くセットしています。
しかもその羽根の部分はトレンブランと呼ばれる特殊な技法を使ったものときていますから、伝統技術が山盛りです。トレンブランというのは、全体のデザインの中の一部が、身にまとう人の動きにつれて打ち震える作りのことをいいます。
このネックレスでいえば、大きなクエスチョンマークの外側に並んでついている羽根の部分がブルブルと揺れるのです。
本体とパーツの接着部分にごく小さなバネを用いているため、実に繊細な揺れが生まれます。
いかにもブシュロンらしく、上手いなと思うのは、色の組み合わせですね。
強くて濃い色の石はどこにも使わず、全体にふんわりとした春先の花畑のような柔らかさがにじみ出ています。
このネックレスはこうして写真で見るよりも、実際に女性の胸に乗って、羽根の部分がゆらゆらと揺れるのを見たほうが、遥かに素晴らしく、美しいと思います。
さすがに伝統と技術のブシュロンだけのことはありますね。
表示価格はすべて税抜きです。
撮影/栗本 光
『家庭画報』2020年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。