――バレエの古典作品に新解釈を加えた作品などで知られる振付・演出家マシュー・ボーンさんのもと、数々の作品で主役を踊ってきたリチャードさんですが、本作品の舞台はディスコ。これまで踊ってきた作品とは、かなり振り付けが違うのでは?
「ものすごく違います。マシュー・ボーンの作品もそれぞれ世界観や振り付けが違っていて、リズムを強調したサルサのようなダンスを踊ったこともありましたが、ディスコはまた全然別の世界。全体的なスタイルとしては、技術の高さというよりも、一つひとつの動きの正確さを求められると同時に、クラブで踊るものなのでリラックス感も必要です。空間に漂うバイブレーションに身を任せるような。そういう意味では、子どもの頃からバレエとコンテンポラリーダンスの訓練を受けてきた僕にとってはチャレンジでした」
――私などは、ビージーズの「ナイト・フィーバー」のサビを聴くだけで、自然と踊ってしまう世代です。
「いいですね~!(笑) 映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の世界観とビージーズのディスコサウンドは、一種、天才的な掛け合わせになっていますよね。各曲にストーリー性があって、作品のドラマ性をより盛り上げる役割を担っていますし。このミュージカルでも、ビージーズの音楽は重要なアイコン。ビージーズを思わせる3人のシンガーがダンスフロアの上方で歌うライブステージスタイルになっていて、3人のハーモニーも完璧、生演奏するバンドのグルーヴ感も最高です」
――ご自身もビージーズの音楽がお好きだとか?
「好きですね。父が60年代、70年代のブリティッシュミュージックやアメリカンロックが好きで、常に家でそういう音楽がかかっていたせいもあると思います。20代の頃は、クラブに行くとDJが70年代、80年代の音楽も取り入れながらミキシングしていましたし、ビージーズを流している飲食店もありました。やっぱり、聴くと無意識に体が動いてしまいますよね。これはもう年齢は関係ない。曲自体が持っている力でしょうね」
長身を生かしたダイナミックなダンスと繊細な表現で、観る者を魅了する。