白磁皿には田作りも。朱塗膳(和田瑾斎 作)、白瓷皿(竹花正弘 作)/ギャルリアジュール 一番館東京店ハレの日の嬉しきもてなし
——小さなお重、正月の点心
黒豆1つでも火加減次第で味が変わって、毎年同じには仕上がりません。
同じものを作り続けると、おせちには必ず発見があります。
1人分ずつ点心のように美しく盛る
鉄釉皿は絵を描くように美しく。どの皿にも三つ肴が入る。南天、裏白、菊の葉など緑を仕切りに配して使うといい。鉄釉皿(中里太亀 作)/ギャルリアジュール 一番館東京店姿や色や味わいに寿ぎの心を託して愛おしむおせちは、正月のハレの料理。
あくを抜いて白くしたり雑味をなくしたり、下ごしらえに手をかけて、1つ1つ丁寧に清らかに仕上げるよう心がけます。
祝い肴を中心に、毎年決めた数品だけを作るのもよし、友達同士で得意な品を作り合い、交換するのも一計です。
角皿は、鶏ひき肉とレバーを焼いた松風焼き、数の子、酢蓮根、ごぼうと青海苔など辛党好み。お正月が大好きな土井さんは、元日には、赤いお重に盛って晴れやかに。2日目には小さなお重を使って気分を新たにします。
お客さまには、別のお重に盛りおいてもいいのですが、平皿に盛ると料理が映えて召し上がりやすいでしょう。
小さな重箱なら盛り替えもしやすい
扇形お重は、九谷焼作家の赤地 健さんの作。「食べきりの器として重宝です」と、土井さんが長いこと愛用。小さな陶器で扱いやすい。赤絵や金彩の青海波に鳥が描かれた華やかな表情のある器なので、器の顔を生かすように盛り込む。辛党なのか甘党なのか、お客さまの顔を思い浮かべつつ、まず器を選びます。
「1つ1つの料理が、自力で“気をつけ”しているように盛ることが大事」と。もたれかかってはだめなのです。