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流氷が奏でる命の調べ【残したい日本の音風景・2月】文/細野晴臣

2019.12.27

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2月 オホーツク海の流水


文/細野晴臣



オホーツク海の流氷は映像などで見たことはあるが、まだ実際には体験したことはない。だが音資料を聞くだけでも想像が広がってゆく。


自然界の音、響きにはいつも癒されていた。風雨や海の音、そして時には恐ろしい雷鳴にも心が動く。

その場にいれば音や光に溢れた空気が、耳や目だけではなく身体全体を揺り動かす。猫が喉をゴロゴロと鳴らすように、人も低周波で癒されるということがあるのだろう。

「シューマン共振」というものがある。自転する地球は電磁波を常に出していて、電離層に反射して波紋のように波打っている。

その周波数は過去からずっと一定しているのだという。自然界の動きはこれに共振していることが知られているのだ。



人間の可聴範囲以下である低周波は、耳ではなく身体で聞いていることになる。

医療の分野でも低周波で骨折の回復を早めることがあるらしい。癒すだけではない、破壊力もあるのでうかつに手を出すことは危険なのだ。

だからこそ、自然界の共振に身を委ねれば間違うことはない。

遠浅の海につかり、潮の満ちの響きを全身で感じたり、風にめく木々の葉の喜びを共有したり、音のするはずのない雪が降りしきる、不思議な静けさを聞いたりすることが、人間にとってどれほど豊かな経験か計り知れないことだ。

そう思ったら是非とも北海道枝幸町へ行って、オホーツクの流氷を聞きに行きたくなった。





上のバナーをクリックすると、実際の音を聴くことができます。

細野晴臣(ほその・はるおみ)



音楽家

1947年東京生まれ。1969年「エイプリル・フール」でデビュー。1970年「はっぴいえんど」結成。73年ソロ活動を開始、同時に「ティン・パン・アレー」としても活動。78年「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、歌謡界での楽曲提供を手掛けプロデューサー、レーベル主宰者としても活動。YMO散開後は、ワールドミュージック、アンビエント、エレクトロニカを探求、作曲・プロデュースなど多岐にわたり活動。
公式サイト www.hosonoharuomi.jp
出典・音響提供/環境省「残したい“日本の音風景100選”」 写真上・撮影/縄手英樹(アイノア) 写真下・提供/枝幸町まちづくり推進課 ※こちらの音は、公益社団法人日本騒音制御工学会ホームページ「日本の音風景100選/サウンドライブラリ」からも聴くことができます。 『家庭画報』2020年2月号掲載。 この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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