ドレス感覚のきものでXmasパーティへ
2019年もいよいよカウントダウンが。今年はお代替わりを迎えるなど、本当に様々な出来事がありました。私にとっては、初の著書となる『
一色采子のきものスタイルBOOK〜母のタンス、娘のセンス』(世界文化社)を上梓するという、何よりも嬉しいトピックに恵まれました。皆様は、どのように一年を振り返るのでしょうか。
さて、12月は華やかなイベントやパーティが目白押し。まずお届けするのは、デヴィ夫人の動物愛護活動を支援するチャリティー・クリスマス・パーティの装いです。私は、シックな振袖に「ピエタ」をモチーフとした帯を合わせて、ドレス感覚のきものスタイルを演出。
この帯は、連載の最終回に間に合うように、「たんす屋」さんであつらえました。
ドレスコードは、赤を身につけること。私は緋の長襦袢から存在感たっぷりの血珊瑚の帯留や帯揚げ・帯締めまで赤で統一しました。もちろんネイルもトレードマークの赤。この時季は、クリスマスらしいスパイス役を果たします。
いつもチャーミングなお人形さんのような樋口百合子さんと、記念撮影を!
これからも、私らしい娘のセンスで!
この日はパリで活躍している歌手・遠藤トム也さんのコンサートへ。著書にも登場する深い緑色の母の紬に、この秋、私のタンスに仲間入りした夢訪庵さんの帯を合わせました。
紬地に刺繍された文字は、フランスの大女優であるエマニュエル・べアールの名言「20代の私の容姿は親のおかげ、40代のそれは、私の心の表れ」。このフレーズには、女優としても一人の女性としても大いに共感します。
手刺繍でヨーロッパの家並みを刺したブローチの帯留めや、グラフィカルな帯揚げもコーディネートのアクセントとして効かせました。
実はこの連載も、今月をもって一度区切りとなることに。この場をお借りしてこれまでご愛読くださった皆様に、心から感謝いたします。
約2年間にわたる連載をご覧いただきまして、本当にありがとうございました。エマニュエル・べアールの帯に込められたフレーズを胸に、これからも娘のセンスを発揮して、私らしくハッピーなきものライフを送りたいと思います。
この連載を読んでくださった皆様が、タンスに眠るきものを新鮮な視点で見つめ、ワクワクしながら活用してくださることが、私の何よりの願いです。
一色采子/Saiko Isshiki
日本画家の故・大山忠作氏の長女として東京都に生まれる。毎日をきもので暮らしたお母様のもとで、コーディネートや着こなしのセンスを磨き、現在はファッションのアイテムを取り入れながら独自のスタイルを楽しむ。趣味の日本舞踊や三味線、長唄では名取になるほど、古典芸能への造詣も深い。現在は、福島県にある二本松市大山忠作美術館の名誉館長や二本松市の観光大使も務める。
構成/樺澤貴子