「やんちゃだった子ども時代。貧乏自慢はいつでもできますよ(笑)」
生まれ育ったのは福岡・小倉。それはそれはやんちゃな子どもだったとか。
「あまり覚えていないんだけど、いたずらもひどくて、近所から『お宅のバービーちゃん、家につないどいてください』っていわれたり、先生が家までやって来て『学校をやめてくれ』なんていうこともあったらしいです」
音楽が好き。今日の選曲は、ジョニー・ギルの「My,My,My」
撮影中、「今日の気分」という曲に合わせて踊りだした草刈さん。このかっこよくも可愛らしい姿が、老若男女に愛される魅力の1つ。女手一つで息子を育てる母は、「バービー」なる愛称で呼ぶ一方、とても厳しかったといいます。
「おっかなかったな。今思えば、親父がいないから、父親役や兄弟役を1人でやってくれていたんじゃないかな。中学を卒業して地元の名の知れた企業に就職したときは、喜んでね。ところが3日でクビになりましてね」
母の落胆たるや......。
「『家庭画報』を売っていた10代。給料は、全額母に渡していました」
結局、定時制高校に進学して、昼間は前述の訪問販売や文房具の配送などの仕事をしてから夕方学校へ行き、授業の後は野球の練習に励み、夜はバーでアルバイト。
ほとんど寝ない生活で稼いだアルバイト代は、すべて母に渡していたそうです。
そうこうするうち、バーのマスターのはからいでモデルの仕事を始めることになった草刈さん。
17歳で故郷を離れ、1人東京へと向かいます。
「モデルを志す、みたいな野心があったわけではまったくなくて、お金につられた、ただそれだけでした。母は『好きにしなさい』と送り出してくれたけれど、おそらく行かせたくはなかったんじゃないかな。1人になってしまうから。さびしかったと思いますよ。
僕も、上京した夜に事務所が用意してくれた旅館に泊まったんだけど、ものすごくさびしくてね。その日のうちに帰りたくなったくらい心細かったのをよく覚えています」