昨年はTBS系『せいせいするほど、愛してる』で初めて民放ドラマにレギュラー出演した。
――初演に続いて、ルフィ率いる“麦わらの一味”のサンジと、革命戦士イナズマを演じていらっしゃる隼人さん。以前から漫画『ONE PIECE』のファンだったそうですね。
「はい。ですから、最初に自分がサンジ役だと聞いたときは、もう信じられないほど嬉しかったです。半面、原作ファンに大反対されてしまうのではないか!? とも思いました(笑)。発表された当初は、“歌舞伎で本当に『ONE PIECE』がやれるの?”というような反応でしたから」
――蓋を開けてみれば大評判となった本作品。ご自身にとっても、何か変化はありましたか?
「随分変わったと思います。大変嬉しいことに、僕自身の認知度が上がって、歌舞伎を観に来てくださる方が増えました。初演の2か月後に『新春浅草歌舞伎』に出演したのですが、たくさんのアンケートに“『ワンピース』で初めて歌舞伎を観て、これが人生2度目の歌舞伎です”というようなことが書かれていて、改めて作品のパワーを感じました。自分なりに色々考えながら『ワンピース』を勤めさせていただく中で、僕自身も古典とはまた違う“魅せ方”を学びましたし、言われたことだけを守ってやることが多かった古典でも、“ここでは少し自分を出してみよう”といったことを考えられるようになりました」
こちらはサンジ役の隼人さん。漫画のキャラクターを生かしつつ見事に歌舞伎化されていて、原作ファンにも好評を博した。
撮影/鈴木心 ©尾田栄一郎/集英社/スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』パートナーズ
――今回は、新たに不死鳥マルコ役も加わり、逆宙乗りもされています。
「猿之助兄さんに“隼人だけ暇な時間があるなんて許さない”と言われまして(笑)。歌舞伎界では、23歳の僕なんて吹けば飛ぶような存在なのに、宙乗りまでやらせていただいて本当にありがたいです。マルコは、存在感と男気溢れる白ひげの右腕であり、何千人もの部下がいる役。プレッシャーもすごくありますが、僕にしか出せないものを出していけたらと思っています。舞台に出ているとどうしても熱くなってしまうので、そこをどう押し殺して物事を冷静に解決していくマルコという人物を演じるか。原作ファンでもある身としては、そこが重要だなと感じています」