屋号は萬屋。俳優の萬屋錦之介や中村嘉葎雄は、父・二代目中村錦之介の叔父にあたる。
――隼人さんご自身は、歌舞伎のどういうところに魅力をお感じですか?
「よく“歌舞伎の嘘”といいますけれども、リアルを超えて成立させてしまう様式美や力強さは、歌舞伎ならではの魅力だと思います。たとえば『ワンピース』で、炎に焼かれたエースがしゃべり続ける場面も、歌舞伎だからこそ成立するのだろうなと。でも正直、僕にはまだ歌舞伎というものがわかりません。ただ、先輩方が命を懸けて続けてこられた歌舞伎とは、どういうものなのだろう?という思いで、僕も人生を捧げるつもりでやっています。色々な役を演じさせていただくたびに、その思いの熱量は強くなっています」
萬屋の家は女方が多いこともあり、以前はその端正な顔立ちで女方を勤めることも多かった。
――11月に24歳の誕生日を迎えられる隼人さん。20代のうちにやっておきたいことは何でしょう?
「全てが歌舞伎に生きると思って、とにかく色々な経験をしたいです。猿之助兄さんも話されているように、それができたときには自信になるので、ちょっと無理だなと思うことにもどんどんトライして、負荷をかけながら成長できたらと思います。実際、2年前の僕はサンジとイナズマの立ち廻りでヘトヘトになって、楽屋で横になっていましたが、今はマルコもやっています。そういう意味では、今回はだいぶ負荷がかかっているので(笑)、また成長できるかなと思っています」