温泉で、客室で。加賀の雅な歴史に浸る
冬の早い夕暮れにぽっと軒先の明かりが灯り、「界 加賀」の紅殻の壁が優しく照らされます。
“湯の曲輪(がわ)”と呼ばれる広場を囲むように宿が並ぶ。城下町・金沢の奥座敷として知られる山代温泉は、今も古きよき温泉街の佇まいを色濃く残すエリア。かつて加賀藩主前田家のお殿さまも通ったという名湯です。
その雅な歴史と文化は「界 加賀」館内の至るところで感じ取ることができます。
エントランスの建物は、2016年に国の登録有形文化財に登録された伝統建築。太い大黒柱と丸太の梁を組み合わせて作られる高い天井は「枠の内」と呼ばれる、北陸独特のスタイルです。その高い天井からは、「光降る」と題された水引細工のオブジェが飾られ、訪れる人の旅心をくすぐります。
レセプション前に飾られた水引アート「光降る」。雪の結晶をイメージした繊細な水引細工が連なる。
客室には水引や九谷焼、加賀友禅のオブジェも置かれる。かの北大路魯山人もこの地に魅了された一人。前身の旅館時代にはたびたび滞在したという縁から、器や書も随所に置かれています。
1階のトラベルライブラリーには、北大路魯山人の作品も展示。そして何より、時代を超えて多くの人々を惹きつけるのは“美人の湯”として名高い温泉。色絵、赤絵、青手、藍九谷と伝統的な4つの九谷様式のタイルが彩る大浴場「九谷の湯」は、まさにこの宿を象徴するスポットといえるでしょう。
「九谷の湯」に飾られたタイルは九谷焼の現代作家にオーダー。露天風呂との仕切りのガラスには金箔で白山が描かれている。雪吊りを施された松を見ながらの雪見風呂も、この季節だけのもの。とろりとした湯に身を沈めれば、旅の疲れも癒やされることでしょう。
Information
星野リゾート 界 加賀
石川県加賀市山代温泉18-47
- [基本料金] 1室2名利用で1泊2食付き1名2万2000円~ ご紹介した「極み タグ付き 活ずわい蟹尽くし会席プラン」は1室2名利用で1泊2食付き1名4万6374円~(いずれもサービス料込み)。 2020年3月10日チェックインまでの限定プラン。 2019年12月29日〜2020年1月6日を除く。
『家庭画報』2020年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。