JR高崎駅の東口改札を出て空中回廊を5分ほど歩くと目の前に現れる、全面ガラス張りのモダンな建物——。高崎市に2019年9月、新たな文化施設「高崎芸術劇場」が誕生しました。
街中でひときわ存在感を放つ全面ガラス張りの外観。圧巻なのが、国内最大級の舞台をもつという大劇場。
テラコッタの内壁、長時間座っても疲れにくいという椅子が配された客席は、日本古来の栗梅色、深い赤茶色で統一され、重厚な雰囲気。
赤を基調とした国内最大級の舞台を誇る大劇場。扇形に広がる客席は、間口が28メートルある広大な舞台と一体感を生み出し臨場感溢れる体験ができる。この深い赤が、かつて高崎の名産であった美しい紅絹(もみ)を思わせ、ドラマティックな空間になっています。
また、高齢者の負担になる上下の移動を少なくするため、あえて2階席までの設計に。1階席の階段は緩やかで、年配のかたやケガをされたかたにも配慮したやさしい作りです。
さらに、演目の開始時間に合わせて開場する通常の劇場と違い、建物内は朝9時から22時までオープン。イベントがない日もカフェ&レストランや各階のソファでくつろぐ姿が見られ、高崎市民の憩いの場になっています。
4階まで吹き抜けになった開放感溢れる1階には、高級ピアノ、スタインウェイ・アンド・サンズがさりげなく置かれ、しかも誰でも弾くことができるそう。
4階まで吹き抜けの1階ロビーに置かれたスタインウェイ・アンド・サンズのピアノ。そしてぜひ注目してほしいのが、1階奥と2階の劇場のドア前。
1階奥には、昭和初期に途絶えてしまい幻の伝統技法といわれる紅板締めの作品が、染色家・吉村晴子氏によって復元され飾られています。
染色家・吉村晴子氏による、貴重な紅板締めの作品。この貴重な作品を間近で見ることができるのも、高崎芸術劇場を訪れる楽しみの1つ。
また2階の一角には、多様な作品を国内外で多く発表し、現在高崎市在住である現代アーティスト、鬼頭健吾(きとうけんご)氏の絵画が展示されています。
2階には、高崎市在住のアーティストとして活躍する、鬼頭健吾氏の独創的な絵画の展示スペースがある。モノトーンの床石がシックなエントランスロビーに位置するのがシアターカフェ、さらに奥の鉄の扉を開けると落ち着いた雰囲気のシアターレストランがあり、来た人を優雅にもてなしてくれます。
ノスタルジックな雰囲気のシアターレストラン。全32席。クラシックな内装、150年以上前のヴィンテージ家具、モダンデザインの父といわれる19世紀のイギリス人デザイナー、ウィリアム・モリスの壁紙、アンティークデザインの照明と、特別感のある上質な空間で、高崎産の食事を味わいながら、高崎の芸術空間、アート、食を存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。
劇場内のシアターカフェ&レストランでは、「高崎産上州勝五郎豚のグリル フレッシュレモンとレフォールを添えて」(手前・1400円)や「海老と高崎産野菜のサフランリゾット」(奥・1000円)など、高崎産の食材にこだわったメニューや本格的なイタリアンのコース料理が味わえる。