大切なのは、「何をどう撮りたいか」
小林:では、基本的なことからお話ししましょう。加藤さんは、写真を撮るときにいちばん大切なことは何だと思いますか?
加藤:うーん、何だろう……構図とか?
小林:そうです!
写真を撮ること=目の前にある世界をフレームのサイズに切り取ること。
そのためには、まず写真の主役となる、“自分のお気に入り(被写体)”を見つけることがいちばん大切です。何を撮りたいかがはっきりすれば、あとは周りのものをどこまで入れ、何を避けるか。つまり、おのずと構図も決まってきます。
加藤:なるほど。主役を決めれば自然と構図も決まる、と。
小林:たとえば、エッフェル塔を撮るにしても、「全体像や景観の中での佇まい」を見せたいのか、「建物自体の質感や迫力」を見せたいのかで撮り方が変わりますよね。
小林:風景を撮るときも、どこを切り取るか、何を撮るかで、まったく違う写真になります。これは僕が20年くらい撮り続けてきた世界の森を収めた写真集なんですが……(と、『森 PEACE OF FOREST』を広げる)。
加藤:おおーっ、素晴らしい!(ページをめくりつつ) この光の感じとか、きれいだなあ。
撮る時間によっても雰囲気が随分変わりそう。僕も風景を撮るのは好きで、旅先で素敵な景色に出合うと撮ったりするんです。でも、僕の技量では、なかなか上手に撮れない。自分の目で見た景色がそのまま写真にならないかなって、よく思いますよ(笑)。
主役を決めたら「光」に気を配る
小林:人間の目は本当によくできていますからね。レンズの性能も進化してきたとはいえ、とても目には敵わない。でも露出、つまり明るさを調整すれば、スマホで撮った写真も自分が撮りたいイメージに近づけることができます。光をどう使うかが、主役(被写体)を決めることの次に大事なポイントなんです。
加藤:そうか。“主役”を生かすために、光を使うわけですね。確かに明るさや光の当たり方で、同じものも全然違って見えますもんね。
とにかく何枚も撮る!
小林:はい。そしてもう1つのポイントは、何枚も撮ること。フィルムと違って、あと何枚撮れるか気にする必要はないし、いらないものは後で消去できます。何枚か撮って、その中からベストを選ぶといいですよ。
加藤:なるほど、そうですね。撮っているうちに、どう撮ればいいかわかってきそうだし。ただ、しつこく撮っていると、周りの人に「まだ撮ってるの!?」と思われそう (笑)。
小林:それはあるでしょうね(笑)。でも、カメラ操作のコツを覚えれば、失敗も少なく手早く撮れるようになると思いますよ。
加藤:そのコツをぜひ伝授してください!