加藤和樹さんが達人の技を学ぶ連載第5弾は、すぐに役立つスマホ撮影術。雑誌『家庭画報』でもおなじみの写真家の小林廉宜さんに、写真を魅力的に撮るコツを伝授いただきます。今回のテーマは人物写真。自撮りの際のポイントもお届けします!
前回の記事はこちら>> 【第2回】スマホで人物を上手に撮るコツを学ぶ
加藤さんも難しいと感じる人物撮影
加藤和樹さん(以下、敬称略):人物を撮るのって、難しいですよね。よく“写真、お願いしていいですか?”って頼まれるんですが、どう撮ればいいのかわからなくて。
小林廉宜さん(以下、敬称略):えっ、シャッターを押してほしいと頼まれるんですか!? 加藤さんを撮らせてほしいとお願いされるのかと思った。
加藤:あ、そっちも時々あります(笑)。人物を撮るときは、どんな点に気をつければいいんですか?
端は広がって写るので注意
小林:スマホのカメラに使われているレンズは広角なので、端に行くほどゆがみが出て、広がって写るんです。なので、周りに余白を作って引き気味に撮ることがポイントです。
加藤:なるほど、そうだったんですね。
引きで撮って余分をトリミングするのが正解
小林:たとえば、全身を撮る場合。画面の端から端まで使って、頭から足まで撮ると、頭と足が大きく写ってしまいます。
そうならないように、ちょっと引きで撮って後でトリミングするか、もしくは少し離れたところからズームを使って撮るようにします。
ズームを使うと画質が落ちると心配される方もいますが、今のスマホのカメラはかなり高画質なので、よほどズームしない限り問題ありません。人物は引き目で撮る、が原則です。
加藤:わかりました。ほかにはどんな点が?
小林:「全身は、上方から撮らない」です。レンズを斜め下に向けて撮ることになるので、下のほうが寸詰まって胴長短足に写ります。
特に加藤さんのように背の高い人が撮影する場合は要注意。スマホを構える位置をぐっと下げて、なるべく低い位置から広めのフレーミングで撮るといいですよ。
加藤:気をつけます。
写真のNG、「串刺し」をご存じですか?
小林:あとは“串刺し”にも気をつけましょう。
加藤:串刺し!? どういうことですか?
小林:じゃあ、僕が加藤さんをモデルに1枚撮ってみますね。……(撮った写真を見せる) これが、いわゆる“串刺し”写真です。柱が加藤さんの頭のてっぺんから刺さっているように見えません?
加藤:あ、本当だ! 気づいたことがなかっただけで、もしかしたら僕、よくやっていたかもしれない(苦笑)。
小林:壁と窓の境目といった横のラインがちょうど首にかかっている写真も、“首切り”といって見た目の印象がよくありません。そうなりそうなときは、カメラの位置や立つ位置を変えて、撮る角度をずらすといいですよ。同様に、指先を切って撮ったり、肘や手首といった関節部分で切って撮ることも避けたいですね。見る人に嫌な印象を与えます。
加藤:確かにそうですね。なんだか怖い感じがします。バランスって大事なんだなあ。