——西島さんは、脚本がない中でハルを演じるモトーラさんを、どんなふうに見ていらっしゃいましたか?
西島:モトーラさんは嘘をつかない人なんですよね。だから、一言出すのに5分とか10分とかかかることがあっても、それがホントのことであれば、(諏訪監督は時間を)全然かける人で。脚本があると、このセリフのあとにこのセリフって、どうしても間みたいなものが決まってきてしまいます。でも、諏訪監督はモトーラさんと会って、「この人と映画を撮るには、脚本がないほうがいいと判断した」とおっしゃっていて。稀有な才能の女優さんなので、現場ではもっと俳優が自由に言葉を発していいんだという諏訪監督のやり方にぴったりだったんだなというふうに思います。
——被災地でもロケが行われました。何か感じたことはありますか?
モトーラ:東日本大震災があったとき、私は12歳で。今21歳で、その間の年月は自分にとってはすごく長かったし、いろいろなことがあったんですよね。子供から大人になって、すごくいろいろなことが変わって、長いけどあっという間だった年月で。でも、実際に福島と岩手、被災したところに行くと、同じ時間が流れていたとは思えないくらい、そのままの状態だったのがすごく衝撃でした。
「大槌町に震災の資料を展示しているところがあって。映像を観たり、大槌町の人たちの声から、そこで起きたことが伝わりました」