第23回
ひと目見て「あら、加賀友禅ね」と言えるようになりたい!
美しい自然の情景をきものに表現する加賀友禅。今回は加賀友禅の基本を学びたいと思います!きものSalon古谷編集長(以下、古谷)「E子、加賀友禅の取材があるんだけど、行ってみる?」
ありがたき機会を頂戴しました!
念願の現場取材です。そうと決まれば、現地へ向かう前に加賀友禅の基本を頭に叩き込まなくてはなりません。張り切って加賀友禅に関する資料を眺めていたところ、
先輩エディターの両角明美さんがそばに来て、資料の写真をひと目見るなり「素晴らしい加賀友禅ね」と。
ひと目でわかるのですか!?
どこで見分けたのでしょう。私も両角さんのようにひと目でわかるようになりたい!「イチから始めるきもの道」、今回は加賀友禅の魅力に迫ります!
加賀の染めの歴史は無地から始まった!?
まず加賀友禅とは、石川県金沢地方に受け継がれてきた友禅染めのこと。筆や刷毛などを使って白生地に模様を彩色する手描き染めの技法で、自然の情景を写実的に描きます。
今から約500年前の室町時代、加賀国(現在の石川県)で行われていた梅染(うめぞめ)という加賀独特の方法で染められていた無地染から染めものの歴史が始まったと言われています。
では、いつ頃から手描き友禅が登場したのでしょうか。
17世紀の中頃、加賀御国染(かがおくにぞめ)と呼ばれる兼房染(けんぼうぞめ・黒系統の染色法)や色絵紋(図案化した花や松竹梅などで家紋を囲み、繊細で美しい彩色を施した洒落紋のこと)などの技法が確立され始めたそうです。
そして1712年、京都で人気だった扇絵師の宮崎友禅斎が金沢に訪れ、いくつものアイデアと技法を創案。こうした要素が加賀友禅の発展に大きな影響を与え、友禅斎の名を配した加賀友禅の基礎が完成したといわれています。
その後、武家文化の中で加賀友禅は繁栄し、さまざまな技法や特長が生まれ、今日まで多くの友禅作家らによって受け継がれてきたのです。
次は独特で美しい加賀友禅の特長をご紹介いたします。