藤野幸信さん 365日の贈り花ダイアリー 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが手がけたブーケやアレンジメントで綴る365日の花日記。贈り花のある、素敵な暮らしのヒントをお届けします。
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鉢植えの花をアレンジに生かすととても新鮮!
宮崎県の総合農業試験場から、切り花用に開発したサイネリアの試作品が届きました。サイネリアといえば、冬から春咲きにかけて出回る人気の鉢花です。鉢花として楽しめるように茎が短くこんもりと茂るように育種されているので、切り花に利用するのはちょっと困難。でも、キクに似た一重の花はすっきりしてかわいらしく、花色も豊富にあります。そこに目をつけたのが宮崎の総合農業試験場で、このサイネリアは茎の長さが60cmもあり、ブーケでもアレンジでも使えます。
さっそくピンクとブルーの品種を束ねてみました。苞(ほう)と呼ばれる糸状の葉が繊細なニゲラの実を合わせてみると、見たこともない新鮮な印象のブーケができ上がりました。鉢花のサイネリアをよくご存じの方でも、ニゲラが混じるこのブーケには驚かれるのではないでしょうか。
使い勝手もよく、仕上がりも素敵なブーケは、総合農場試験場にお礼として贈りました。「試作のサイネリア、こんなに素敵になりますよ!」とお伝えしたくて…。切り花でたくさん出回るようになるのが、今から楽しみでしようがありません。皆さまも、どうぞ期待してお待ちください。
【使用花材】サイネリア(試作品種各色)
ニゲラの実
贈り花のヒントサイネリアはキクやマーガレットによく似た花をたくさん咲かせます。2月~4月に鉢植えで出回り、気温が5℃以上であれば、屋外で管理することもできます。鉢植えは茎の長さが20~30cm程度で、花が密集して咲くこんもりした姿が魅力です。ただ、最近では茎が長い木立ち性のサイネリアも出回っているので、お店で見かけたら入手して、切り花に利用するのもありだと思います。切り花品種が出回る前に、一度ご自宅用にアレンジして、新鮮な雰囲気を楽しんでみてください。
下の写真をスワイプしてご覧ください。
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅から少し離れた段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。
広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を卒業後、花の道に進んだ異色の経歴。
店名のtrémoloは音楽用語で震音を表し、「感動で声が震える」ことを意味する。感動する花束を多くの人に届けたい、という思いから、市場を頼らず、自ら生産者情報を入手して、お気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。
制作したブーケのアップを続けているフェイスブックから人気が広がり、全国各地から贈り花のオーダーが届く。
月刊『フローリスト』などの雑誌の連載や表紙などでも人気。2018年6月に新著『季節の色合いを楽しむブーケ』(誠文堂新光社)を発刊。
https://www.fleurs-tremolo.com