藤野幸信さん 365日の贈り花ダイアリー 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが手がけたブーケやアレンジメントで綴る365日の花日記。贈り花のある、素敵な暮らしのヒントをお届けします。
記事一覧はこちら 3月10日の贈り花
退職する女性に大人色の春ブーケを贈る
3月は送別の季節でもあり、贈り花のオーダーも多くなります。今回は退職される女性に感謝の気持ちを伝えるブーケをご紹介します。シックな雰囲気のとてもおしゃれな方というので、春のバイオレットを集めたブーケを作ろうと思いました。
春は花色がいちばん豊富に揃う季節です。どんな花色合わせも可能なので、制作していてとても楽しい気持ちになります。アネモネ、スカビオサ、チューリップ、スイートピー、パンジーと、5種の花から濃淡のバイオレットを選び出しました。バランスよく濃淡を組み合わせながら束ねてみると、予想以上に花色の幅がある自然なグラデーションが描けました。しかもとても大人っぽい表情! その雰囲気をいちばん醸し出してくれているのが、スイートピー ダークブルーではないでしょうか。白地に紫色の縁取りで、中心部にも紫色のスプラッシュと呼ばれる水しぶきのような斑が入るこの花は、染めではなく自然の花色です。最近のスイートピーのおしゃれさは本当にすごいなと思います。
シックな大人色の雰囲気を壊さないように、シルバーリーフのユーカリを加えて仕上げました。このブーケを手にする女性がどんな方か、手渡すシーンをちょっとのぞいてみたくなりました。
【使用花材】アネモネ ミストラルワインホワイト、ラベンダーシェード
スカビオサ ユイ
チューリップ ミステリアスパーロット
スイートピー ダークブルー
パンジー カルメン
ユーカリ
贈り花のヒント春は花色が豊富に揃いすぎて、逆にどの花色を組み合わせたらいいか迷ってしまうこともあります。これだけ豊富にあるのですから、1色だけで濃淡のきれいなグラデーシヨンを描いてみるのもおすすめです。今回はバイオレットのグラデーションでしたが、ピンクから白への淡いグラデーション、ピンクから赤への華やかなグラデーション、クリーム色から黄色、オレンジ色、黄緑色へのフレッシュなグラデーションなど、どれもこの時期なら手軽に試すことができます。
同系色でまとめるときは、花形や花びらの質感が異なるものを選び、表情に変化をつけるのがポイントです。
下の写真をスワイプしてご覧ください。
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅から少し離れた段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。
広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を卒業後、花の道に進んだ異色の経歴。
店名のtrémoloは音楽用語で震音を表し、「感動で声が震える」ことを意味する。感動する花束を多くの人に届けたい、という思いから、市場を頼らず、自ら生産者情報を入手して、お気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。
制作したブーケのアップを続けているフェイスブックから人気が広がり、全国各地から贈り花のオーダーが届く。
月刊『フローリスト』などの雑誌の連載や表紙などでも人気。2018年6月に新著『季節の色合いを楽しむブーケ』(誠文堂新光社)を発刊。
https://www.fleurs-tremolo.com