インナーは機能性を重視!
「和装用を使用派」と「洋装用を兼用派」で二分
そして、大きく意見が分かれたのが冬用インナー(肌着)について。和装用を使う方と、洋装用を兼用している方とではっきり分かれたのでした。
和装用はやはり専用に作られているだけあって細かな配慮がありますし、いっぽう洋装用は種類も多く、手に入れやすい点が魅力。
そんな中で、どちらにも共通する点がひとつ。それは、発熱素材など機能性の高い素材で作られているということ。また、洋装用は袖が長いものが多いので、はさみで好みの長さに切って使っているというツワモノさんも。
皆さん、温かさを確保したうえで、自分に合ったスタイルを選ばれているのが印象的です。
機能性素材を使った和装用インナー「あったかLINE」のパンツ型裾除けと、上で紹介したフリース足袋が冬のマストアイテムだという古谷編集長。きものSalonのイベントで冬支度達人をキャッチ!
朗らかな雰囲気の中、アカデミックなお話をおいしい食事とともに楽しまれていた皆さん。その文化的でありながら華やかな様子は「大人の女性」そのものでした。そして、11月27日に東京国立近代美術館に併設されているレストラン「ラー・エ・ミクニ」で行われた「鏑木清方と美術館の夕食会」にも潜入し、皆さんの冬支度のポイントを伺ってきました!
さっそく、歓談中の皆さんに直撃!きものを着慣れたみなさんだからこそ分かる、とっても役立つ情報をたくさん教えてくださいました(その際の、きもの初心者を温かく見守り、教えてくださる皆さんの優しさと言ったら…!A子、その有難さに思わず涙が出てしまいそうでした)。
皆さんからいただいた情報をまとめてみました!
●ステテコを活用「愛用しています!」という方が意外と多かったのがステテコ。その中でも素材にこだわる方が多いのが特徴的で、シルク素材や二重ガーゼのものが特に人気でした。その理由をうかがうと、どちらの素材も夏はさらっと快適に、冬は保温性が高く温かいのがポイントだそう。実は、実際にお客さまが着ていらっしゃった二重ガーゼのステテコを触らせていただいたのですが、肌触りが優しくとっても温か!その実力を実感したのでした。
●「首」とつくところ(=「首」「手首」「足首」)を温めるやはりというべきか、編集部同様に多くの皆さんが実践していたのがコレ。「三首」を温めて熱を逃がさないのは寒さ対策の“キホンのキ” なのですね。そして、とってもお優しいお客さまが実際の様子を写真に撮らせてくださいました(A子の無茶なお願いにご対応下さって本当にありがとうございます)!
足袋用インナーソックスを履いているお客さま。フリース足袋などは厚みがあってお茶席には向かないそうですが、こういった薄手の足袋用ソックスならお茶席にも履いていけるので重宝していらっしゃるそう。革のロンググローブは着脱が面倒なのが玉に瑕…。そこで、薄手のアームウォーマーと革のショートグローブを合わせて、機能性&寒さ対策の両方を叶えたアイデアがこちら。さっそく真似します!●カイロを活用する貼るカイロを背中や腰、お腹に貼るという方も多数。また、正座をしないときには足袋の裏にカイロを貼るという方も。
●保温性の高いきものや襦袢を選ぶまた、きもの上級者が揃う場ならでは!と感じたのが、きものや襦袢の素材を選ぶことで寒さ対策をしていらっしゃる方が多くいたこと。絞りや真綿紬、地機織の結城紬などの保温性が高いきものを選んだり、綿薩摩の襦袢を愛用されたりと、きものへの深い愛や知識を感じたのでした。
●特別な対策はしない「きものを着ているだけでも温かいので特別な対策をしていません」「室内は暖房が効いていて汗をかいてしまうくらいなので、冬支度といってもコートやストールなどの羽織物で調節するだけ」といった意見の方もちらほら。きものはお腹まわりをしっかり保護してくれるので、それだけで温かいと感じる方も多いようです。
以上、「きもの冬支度」いかがでしたでしょうか?さまざまな工夫をされながら“冬のきもの道”を楽しんでいらっしゃる姿を拝見して、A子はモーレツに感動しております。寒くたってきものは楽しめる!そう皆さまの背中から教えていただいた気がいたします。
取材・アンケートにお答えくださった皆さま、本当にありがとうございました!おかげで、これからの冬は寒さも楽しみながらきものを着ることが出来そうです!
構成・文/笹本絵里 中島敦子 ※この連載で取り上げて欲しい、皆さんの「いまさら聞けない」きものの基本&疑問をぜひ お聞かせください! 件名「イチから始めるきもの道」と明記し、メールにてお寄せください。 E-mail:k-salon@sekaibunka.co.jp