タナダユキさんと蒼井 優さんの初タッグ映画は、『百万円と苦虫女』。蒼井さんが映画作品でタナダ組に参加するのはそれ以来11年ぶり。愛し合って結婚したはずの哲雄と園子。夫はラブドール職人であることを隠し続けたまま仕事にのめり込んで家庭を顧みなくなり、妻は秘密を抱え……。平穏な日常の中で変わりゆく夫婦の感情をリアルに映し出す映画『ロマンスドール』。この儚い大人のラブストーリーは、タナダユキさんの小説『ロマンスドール』が原作。タナダさん自身の手で映画化され、哲雄役を高橋一生さん、園子役を蒼井 優さんが演じます。タナダさんと蒼井さんにお話を伺いました。
——タナダさんは、蒼井さんは自分にとって特別な女優さんだとおっしゃっていますね。
タナダユキさん(以下、敬称略):自分にとって『百万円と苦虫女』がそれまでとは少し違う、ちょっと規模の大きな映画だったということもありますし、そのときは今よりももっと監督としてダメダメで。ダメダメな頃から知ってくれている数少ない女優さんっていう(笑)。
蒼井 優さん(以下、敬称略):そんなことないです。
タナダ:その頃から見捨てずにいてくれてる女優さんっていう意味でも(笑)、特別な存在です。
蒼井:ダメなエピソードって何かありました?
タナダ:現場における知らない用語とかもあって。知ってるふりしてたりとか、知らないことを知らないって言っちゃってびっくりされたりとか(笑)。
蒼井:よくスタッフさんに質問していたのは覚えてる(笑)。「それ、何?」って。
タナダ:そうそう。知らないから。そこは素直に。
蒼井:でも、私もあまり専門用語を知らないから、一緒に勉強してた(笑)。
タナダ:そうなんだ(笑)。
——蒼井さんにとって本作は、11年ぶりのタナダ組。何か変化は感じましたか?
蒼井:お互いかもしれないですけど、待てるようになったなって。
タナダ:待てる?
蒼井:キャリアを積むごとに、スタッフさんもキャストも、若い子たちが入ってくるようになって。今までは、待たせる側だったかもしれないけど、待つ側にちょっと移行してるなという感じが。タナダさんを見ていて、「あ、私もそうかもしれないな」と思って。そこが変化ですかね。
タナダ:まだかな〜、しょうがないな〜っていう(笑)。
蒼井:お互いちょっとぼんやりして。
タナダ:お茶でも飲むかな、私やれることないし、というね。
蒼井:そうそう(笑)。
——お二人はテンポが似ている感じがしますね。
蒼井:私は勝手にそう思ってます。
タナダ:楽しいですね、しゃべっていると。
——言葉にするなら同士とか盟友とか。
蒼井:正直、そう思ってます。思ってますけど、そう言ったらすごく照れるんでしょ、ってお互いが思ってるから。そういう言葉に照れる感じが似てるかなって。
タナダ:そうそう。だから、お互い言わない。私も思ってるけど。
蒼井:恥ずかしいんですよね。
タナダ:すごく頑張って言えたのが「私にとって特別な女優」なんです。