《Tina.》2018年 作=ジュリアン・オピー サイズ=高さ300×幅124.3×奥行き44センチ 場所=ホテル東横INN成田空港 所蔵=東横イン選・文/住谷晃一郎(美術評論家)「私にとって世界中の街行く人たちが、さまざまなタイプと選択の可能性を持つ無限のパレットのように見えるのです」
オピーの単純な太い輪郭線で描かれたピクトグラムのような人物像は、2、3秒後であれば別の誰かであったかもしれない見知らぬ通行人を高性能カメラで写したスナップ写真をもとに何回もトレースして生まれる。
しかもそれが歩いているように見えるから不思議だ。
オピーは浮世絵や日本のアニメの手描きのセル画をコレクションしている。
とりわけ歌川広重の作品は、「渡しの舟、飛ぶ鳥、有名な雨の描写など、現実の風物を新たな視点で捉え、絵なのに動きがある」と語る。
この「Tina.」も、日本の浮世絵やアニメのシンプルな線描と深くつながっている。
取材協力=MAHO KUBOTA GALLERY 撮影=本誌・武蔵俊介
『家庭画報』2020年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。