『人間』
又吉直樹 著/毎日新聞出版 1400円美術の専門学校に通っていた頃、アーティストを目指す学生たちと“ハウス”で共同生活していた永山。グループ展で発表した作品が編集者の目に留まり、作品集を刊行して以降、絵と文章で身を立てている彼のもとに、昔の知人からメールが届く。
メールにあった思い出したくもない人間の名前から、永山はハウスにいた当時の仲間を振り返り......。
『火花』『劇場』に続く、又吉直樹さんの3冊目の小説。自問自答のモノローグや、安易な批判から始まったハウスの元住人同士の激しいメールの応酬などに表れる、思考の深さとことばの強さ。
東京での日々から両親の故郷・沖縄へ、その舞台の移し方や回想の描き方に著者のセンスが見える。
表示価格はすべて税抜きです。
『家庭画報』2020年2月号掲載。
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