藤野幸信さん 365日の贈り花ダイアリー 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが手がけたブーケやアレンジメントで綴る365日の花日記。贈り花のある、素敵な暮らしのヒントをお届けします。
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愛犬を偲ぶ白い花のブーケをご実家に贈る
ご実家でかわいがられていた愛犬が亡くなってちょうど1年。娘さんから1周忌に飾る花の依頼を受けました。亡くなってすぐではなく1年たつので、花色は白以外でもよいのですが、ちょうど素敵な白いカラーが届いたので、それをメインに使おうと考えました。
千葉県君津市の小糸地区は、昔からカラーの産地として知られていて、今回のカラーは「JAきみつ」の「君津市小糸花卉園芸組合」から届きました。
小糸という地名にちなみ、品種名は恋人(こいと)ミニ。一般的なカラーより小ぶりなサイズでステム(茎)も細く、ブーケにもアレンジにも使いやすく、毎年取り寄せているお気に入りのカラーです。
カラーにも少し緑が混じるのですが、さらにチューリップとリューココリーネも緑混じりの品種を選びました。つるの動きがかわいいエンドウやユウギリソウなど優しい雰囲気のグリーン花材をたっぷり加え、ナチュラルな雰囲気いっぱいに仕上げました。
ワンちゃんを偲ぶと同時に、愛犬がいなくなり、寂しい思いをしているご両親を元気づけたい、という娘さんの優しい気持ちをこのさわやかなブーケに込めてお届けしたいと思います。
【使用花材】カラー 恋人ミニ
チューリップ スーパーパーロット、マウントタコマ
リューココリーネ 緑のリューコ
エンドウ
ユウギリソウ ブリバグリーン
スペアミント
ダスティーミラー(シロタエギク)
贈り花のヒントカラーはサトイモ科の球根の花で、湿地で育つタイプと畑で育つタイプがあります。畑地性のカラーは通年出回り、湿地性カラーは10月〜5月まで出回ります。
湿地性のカラーは大型でステムも太めですが、畑地性はステムが細くカラーバリエーションも豊富に揃っています。最近では、濃淡のぼかしやスプラッシュ(刷毛目模様)が美しい品種なども出回っています。
どちらも花持ちがとてもよいので、すっきりしたスタイリッシュな花をぜひブーケやアレンジに生かしてください。
下の写真をスワイプしてご覧ください。
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅から少し離れた段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。
広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を卒業後、花の道に進んだ異色の経歴。
店名のtrémoloは音楽用語で震音を表し、「感動で声が震える」ことを意味する。感動する花束を多くの人に届けたい、という思いから、市場を頼らず、自ら生産者情報を入手して、お気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。
制作したブーケのアップを続けているフェイスブックから人気が広がり、全国各地から贈り花のオーダーが届く。
月刊『フローリスト』などの雑誌の連載や表紙などでも人気。2018年6月に新著『季節の色合いを楽しむブーケ』(誠文堂新光社)を発刊。
https://www.fleurs-tremolo.com