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惜別の気持ちを、うつむきがちに咲く雫スイセン「天使の涙」に込めて

2020.03.31

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藤野幸信さん 365日の贈り花ダイアリー 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが手がけたブーケやアレンジメントで綴る365日の花日記。贈り花のある、素敵な暮らしのヒントをお届けします。記事一覧はこちら
3月31日の贈り花

3月31日の贈り花


「天使の涙」を束ねて、さようならのブーケを贈る


お別れが多いこの季節にぜひ贈りたい素敵なスイセンが入荷しました。うつむきがちに咲く真っ白なスイセン、その品種名は天使の涙です。さっそく遠く離れた地で新しい生活を始めるお友達への贈り花を、このスイセンで制作してみました。

スイセンの清楚な白を生かすために、ほかの色味は加えず、クリスマスローズの白花、淡い緑色の風船の先に小さな白花を咲かせるシレネのグリーンベルのみを合わせ、葉ものなどのグリーン素材も加えずに束ねました。


白の中でアクセントになってくれるのが、クリスマスローズの花びらに浮かぶ赤紫色のブロッチ(斑紋)です。

「ああ、お別れなんだなー」という気持ちがふつふつとわいてくるようなブーケですが、新しい生活のスタート前には、乗り越えなければならない別れもありますよね。その別れを素直に悲しむ「天使の涙」が、相手の方を大切に想う気持ちをまっすぐに伝えてくれると思います。

スイセンの天使の涙は、切り花では流通が少ない希少な品種です。お店に入荷していたら、ぜひ贈り花に利用してみてください。その際には「天使の涙」という素敵な名前もお相手に教えてあげてください。

【使用花材】
スイセン 天使の涙
クリスマスローズ ダブルエレンホワイト
シレネ グリーンベル

贈り花のヒント
ちょうどこの時期に庭でも咲き出しているスイセンは、品種がとても豊富で切り花でもいろいろな品種が出回ります。年末から咲くニホンズイセンに続き、初春からずっと出回るスイセンもそろそろ終盤を迎えています。

今回使用した天使の涙のようにうつむきがちに咲く雫スイセンや、大きなリップを持つ華やかなラッパズイセンなど、系統によって個性も異なるので、ぜひ送別の贈り花に利用してみてください。どの品種もスイセンならではの清楚な雰囲気があるので、上品な作品ができると思います。

下の写真をスワイプしてご覧ください。

藤野幸信/Yukinobu Fujino



広島駅から少し離れた段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。

広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を卒業後、花の道に進んだ異色の経歴。

店名のtrémoloは音楽用語で震音を表し、「感動で声が震える」ことを意味する。感動する花束を多くの人に届けたい、という思いから、市場を頼らず、自ら生産者情報を入手して、お気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。

制作したブーケのアップを続けているフェイスブックから人気が広がり、全国各地から贈り花のオーダーが届く。

月刊『フローリスト』などの雑誌の連載や表紙などでも人気。2018年6月に新著『季節の色合いを楽しむブーケ』(誠文堂新光社)を発刊。 https://www.fleurs-tremolo.com
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