【運動器ドック】慶應義塾大学病院 予防医療センター
筋肉や骨密度の減少を早めにキャッチ
慶應義塾大学 スポーツ医学 研究センター 教授
石田浩之さん
1962年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。慶應義塾大学病院内科、スポーツ医学総合センターを経て、現在、スポーツ医学研究センター教授。日本オリンピック委員会医科学専門委員会委員なども務める。加齢で変わる体組成を検査
慶應義塾大学病院予防医療センターでは、同院スポーツ医学総合センターと協力し、人間ドックの追加オーダー検査として「運動器ドック」を実施しています。
ここでは、下記のように骨や筋肉に関する項目を統合してチェックできます。
運動器ドックの検査項目
●骨(腰椎・膝関節)X線検査
●腰椎MRI検査
●骨密度・体組成(筋肉量・脂肪量)測定
●握力測定
●追加血液尿検査
検査の結果は、1か月以内に説明が行われ、その際には通常の人間ドックの結果も合わせ、受診者の持病などを考慮した運動を指導します。
希望者にはスポーツ医学総合センター外来で行っている「アドバンスコース」(自費診療)も用意されています。
運動器の検査結果と通常の人間ドックの結果をあわせて検討し、生活習慣の注意点や運動の概要などを教えてもらえる。運動器ドックを担当する医師の1人、スポーツ医学研究センター教授の石田浩之さんは高齢者医療や在宅医療の経験もあり、一般の健診項目に特に異常がなくても、寝たきりに近い高齢者が多いことを目の当たりにしてきました。
「今日の高齢化社会で問題となっているロコモティブシンドローム(運動器障害/ロコモ)、フレイル、サルコペニア(筋肉の減少)は骨や筋肉の脆弱化が背景にあり、早い段階から運動器をチェックする必要があることを高齢者を診みる医師たちは痛感しています。一方、国の特定健診は、メタボ、すなわち生活習慣病をターゲットとしたものであり、運動器のチェックはできない。そこで、人間ドックで始めようということになりました」。
腰椎MRI検査で脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアの有無などを調べる。年齢を重ねると運動器の状態は個人差が大きくなるため、「何歳で運動器のチェックを受けるべきかをいうのは難しい」と石田さん。
ただ、運動器疾患の予防という観点では50代、60代におすすめといいます。
「高齢世代では、たんぱく質を中心に食事量を保ち、筋力トレーニングをして筋肉や骨の脆弱化を防ぐ努力が必要になっていきます。歩く速度が遅くなった、つまずきやすくなったといったことが気になる人はもちろん、健康寿命を延ばすためにも、定期的に受診してほしいですね」と話します。
慶應義塾大学病院
予防医療センター住所:東京都新宿区信濃町35
TEL:03(6910)3533
URL:
http://cpm.hosp.keio.ac.jp/recommend/4_5人間ドック(健診プログラム)は基本コースの標準ドック(X線)が9万3500円(税込み)から。運動器ドックは6万3800円(税込み)で追加オーダーとして実施。