藤野幸信さん 365日の贈り花ダイアリー 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが手がけたブーケやアレンジメントで綴る365日の花日記。贈り花のある、素敵な暮らしのヒントをお届けします。
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4月4日の贈り花
衝撃的な「青」をミステリアスなブーケに
高知県宿毛市の「石田蘭園」、石田隆博さんは、自らを「シンビニスト」と名乗り、小型のシンビジウム テーブルシンビの生産に情熱を注いでいます。その石田さんから、美しいブルーに染められたシンビジウムが届きました。自然界にはあり得ない色だからどうしようもなく欲しくなり、どうしようもなく美しい!
その青いシンビジウムを見たときに受けた衝撃をそのままブーケにしてみました。ちょうど長崎県佐世保市の染め花の名人「ワイルドプランツ吉村」さんからもさわやかな水色に染めたカラーが届いたので、2種のあり得ない青を共演させてみました。
濃い青、エメラルドグリーン、そして水色。さらにルピナスのブルーやリューココリーネの紫を加え、フレッシュな緑色をたっぷりと加えてみました。なんともミステリアスな美しいブーケに、しばし見入ってしまいました。
さて、皆さんの感想はいかがでしょうか。染めの青の花を見て、違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、花に関わる者として、見たことのない花色は憧れの存在であり、やはりどうしても「見てみたい!」という気持ちになるものなのです。
いずれ交配の技術が進んだら、この花色が作り出される可能性もありますが、クオリティの高い染め花は、もはやアートの一つと言えるのではないかと思います。
さて、この衝撃的な青いブーケは、「ブーケにするとこんなに素敵です!」というメッセージを込めて、染め花を贈ってくださった石田さんにお礼に贈りました。花の生産者さんがブーケを見て、さらに生産意欲を高めてくださることを期待しています。
【使用花材】シンビジウム テーブルシンビ(染め2種)
カラー ブルー(染め)
ルピナス テキサスブルーボネット
リューココリーネ ストライプブルー
レピディウム エメラルドビーズ
ビバーナム スノーボール
贈り花のヒント「ブルーの花が好き」という方はたくさんいらっしゃいますが、自然界には青紫系の花は多くあっても、純粋な「青」は数えるほどしかありません。
よく花色合わせでブルー系と呼ぶのも、青紫系の花を指しています。今回の青いシンビジウムは試しに染めたもので、一般には流通していませんが、「ワイルドプランツ吉村」さんのマトリカリア ブルーワンダーは、一般にも流通し、花屋の間で取り合いになるほどの人気です。もし花屋さんでブルーワンダーを見かけたら、ぜひ入手してみてください。最近の染め花のクオリティの高さをご自身の目で確かめて、贈り花にも利用してくださるととてもうれしいです。
下の写真をスワイプしてご覧ください。
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書
『大切な人への贈り花』も好評。
https://www.fleurs-tremolo.com 『人気フローリストが教える フラワーアレンジのデザイン&ヒント78 大切な人への贈り花』
誕生日、結婚記念日、ウエディングなど、78例のブーケ&アレンジメントを色別に掲載したオールカラーの大判の単行本。色別花図鑑コラムや全国の生産者データなどお役立ち情報やインデックスも充実。大切な人へ花を贈る際のヒントが満載です。