日本人のソウルスイーツ カステラを愛す 第4回(最終回) 400年以上前に、ポルトガルから伝えられたカステラ。以来ずっと変わらず多くの人に愛され続けている、日本人のソウルスイーツです。今回、編集部ではそのルーツを探り、さらに人気の品々を食べ比べして、今おすすめしたいカステラを、厳選してお届けします。おいしいカステラを食べれば、みんな笑顔に。幸せを運んでくれる、カステラ特集です。
前回の記事はこちら>> お客さまをお招きするとき、カステラを使った気の利いたレシピをご提案くださったのは、料理研究家の久保香菜子さん。「カステラは甘さが強く、生地が崩れやすいので、そこに気をつけるのがポイントです」。スイーツ系とフィンガーフード系、二通りのアレンジを考えてくださいました。
甘党さんも辛党さんも喜ぶ、お手軽アレンジ
カステラで優雅におもてなし
写真右:【辛党に】シャンパンを引き立てるフォワグラとのマリアージュ
ドライいちじくは水で薄めたラム酒に二晩浸す。スライスしたカステラは有塩バターで軽く炒め焼き、上にいじちくをのせる。フォワグラのパテをスプーンですくいとり、いちじくにのせ、オリーブを爪楊枝で留める。
写真左:【甘党に】7ミリキューブはチーズとの絡みが絶妙
カステラは7ミリ角程度にカット。中に入れるマスカルポーネチーズには少しだけ砂糖を加え、カットしたカステラを手の上でくっつけながら成形していく。表面の茶色い箇所を使うと、異なる色の仕上がりに。
フォワグラとカステラをのせた小皿 キューブ形カステラをのせた大皿/すべてエルキューイ・レイノー青山店 タンブラー大・小/ともにツヴィーゼル・ブティック代官山「スイーツに仕上げる際は、合わせる材料の甘さを控えるのがコツ。今回はお洒落に、まあるく仕上げましたが、スライスしたカステラに、泡立てた生クリームと季節のフルーツを添えるだけでも、気の利いたデザートになります。
日にちがたってしまったカステラはバターで焼いて、アイスクリームとナッツを添えるのもいいでしょう。
おつまみ系なら、フォワグラのほか、ブルーチーズやサラミなどが合います。ブルーチーズはマスカルポーネと混ぜたり、サラミは刻んだじゃがいもと炒めて添えるのがおすすめ。常温のカステラにあつあつ野菜という温度差も、おいしさの秘密です。
話は変わりますが、温度といえばカステラの半冷凍も一度お試しいただきたい! 新感覚の食感と味わいが楽しめますよ」
ベリー系の赤と、南国系フルーツの明るい色が春らしい。どちらもカステラの甘みを生かすため、酸味のある果物を使用。生クリームをはじめとするクリーム類の糖分も、最小限に抑える。リキュール類のアルコールは糖度が高いものの、アルコール度数の高さで味覚、香りともに大人っぽいメリハリが生まれる。タンブラー大・小/ともにツヴィーゼル・ブティック代官山スポンジを焼かなくても、カステラがあれば簡単に!
華やかでおいしい「カステラ de パフェ」
自宅で作りやすい、久保さんいちおしの「フルーツ入りズッパイングレーゼのパフェ仕立て」。リキュールが苦手なかたは、いちごやメロンのシロップで代用して楽しんでください。
材料
※お好みの量でご用意ください
・カステラ
・生クリーム
・カスタードクリーム
・マスカルポーネチーズ
(左のパフェ用)
・いちご
・ラズベリー
・ブルーベリー
・甘みを抑えたゆるめのいちごジャム
・アルケルメス(リキュール)
・飾り用のチャービル
(右のパフェ用)
・メロン
・パイナップル
・キウィ
・ゴールデンキウィ
・ミントリキュール
・飾り用のミント、ライム
作り方
1.材料のフルーツは容器に合わせた大きさにカットしておく。
2.グラスの内径サイズのセルクルを用意し、厚さ約1センチにスライスしたカステラを、セルクルで抜く。
3.リキュールを刷毛で塗る。生地はリキュールに浸すと溶けてしまうので注意。
4.ベリー系のパフェの場合は、いちばん下にいちごジャム、リキュールを塗ったカステラの順に入れる。スライスしたいちごをグラスの内側に貼りつけ、中心部にカスタードクリームを入れ、外側に生クリームを絞り入れる。
その後、ラズベリー、カステラ、カスタードクリーム、ブルーベリー、マスカルポーネチーズ、生クリーム、カステラ、カスタードクリーム、生クリームの順に美しく重ねる。
最後に、半分に切ったいちごをらせん状に並べ、中心に丸ごとのいちごとチャービルを飾る。南国系フルーツパフェのほうも同様に、色のバランスを見ながら材料を重ねていき、いちばん上にミントと輪切りのライムを飾る。
〔特集〕日本人のソウルスイーツ カステラを愛す(全4回)
極上『カステラ』食べ比べ
2020年2月20日(木)に「家庭画報の極上『カステラ』食べ比べ講座」を開催します。講師は本特集でカステラのアレンジレシピを考案してくださった久保香菜子さん。 ●日にち/2月20日(木) ●時間/14時〜15時30分 ●受講料/全1回 会員4400円 一般5280円 教材費3300円 セブンアカデミーへのお問い合せ・お申し込み TEL:03(6697)0071
https://academy.sekaibunka.com撮影/阿部 浩 スタイリング/横瀬多美保 料理制作/久保香菜子
『家庭画報』2020年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。