——ミセス・ミアーズは、表の顔と裏の顔が違うんですよね。
「そうですね。ただ、全体的にはコメディで、ハッピーなミュージカルなので、すごく恐ろしい悪人ではなくて。場面によっては、裏の顔もうっかり見せちゃったりもする、スキがある悪い人。チャーミングな、それこそブロードウェイミュージカルに出てくる、お客さまがふっと笑っちゃうような、悪人みたいな感じがわかりやすいかな。でも、そのあんばいも難しくて」
——ミセス・ミアーズと共通点はありますか?
「無駄な迫力はたぶん共通してあると思います(笑)。全然自分ではそんなふうに思っていないんですけど、舞台に立つと迫力があったとかよく言われちゃうんですね。だから、それを今回の舞台では使えたらいいなと思っています。あとは、悪になりきろうとしているのに、ついポロポロ出てしまったり、ちょっと抜けているところは共通点ですかね(笑)」
——役を作るときは、自身との共通点から探っていきますか?
「なるべく自分の中のものは封印して、その役になりきりたいって毎回思っているんですけど、やっぱり自分が今までやってきたことだったり、生きてきたものだったりがどうしても出ちゃうんですよね。そこはもう仕方がないかなと思って。あえて出したり、取り入れることもないんですけど、最終的には出ちゃってるタイプ。そういう意味では一緒ですよね。ミセス・ミアーズもちょいちょいお尻から尻尾が出てるみたいなところがあるので(笑)」
「なりきったつもりでも、“あの瞬間、一路さんが出てたよ”って言われることもあるんですよね。やっぱり役者って怖いなと思います」