「赤座海老、赤ウニ、シュレンキ・キャビア、茹でヒカマ、カブとリンゴのフリカッセ」。フランスの伝統的な煮込み料理も、モダンな仕上がり。
味覚をめぐる感悦なる冒険に身をゆだねて
「アンバー」の総料理長であるオランダ出身のリチャード・エッケバスさんは、アラン・パッサールやギー・サヴォア、ピエール・ガニェールといった名だたるフレンス料理の巨匠の厨房で研鑽を積み、世界各国の有名レストランで実績を残してきた方。伝統的なフランス料理の技術を踏襲しながらも、軽やかに国境を超える斬新な品々は、まるで味覚をめぐる冒険のよう。次のひと皿はどんな味わいだろうと、ワクワク心が踊ります。
リチャードさんは、和牛をはじめ、魚介や野菜なども日本産の食材を多く使用。九州を中心に年に6〜7回来日し、日本の生産者や料理界にも精通しています。「香港に来てまず感じたのは人々の“鮮度”に対する意識の高さ。魚介にしても、香港では生きているうちに料理に使うのが当たり前になっているんです。日本の食材に目をむけたのは、新鮮でより高品質な魚介を使いたいと考えたのがきっかけです」とリチャードさん。
料理のみならず、テーブルウェアや空間、演出に至るまで、「ザ・ランドマーク マンダリン オリエンタル 香港」の全てのダイニングを統括している総料理長のリチャード・エッケバスさん。
時には九州の漁師と共に釣り船に乗ることもあるそう。最高の食材を求めるその探究心と行動力には驚かされます。さらにアジアに来てからは“旨味”を意識するようになったといい、炭火焼きなどといった日本の伝統的な調理法にも着目して、自らの料理に取り入れています。食材の旬を大切にしているため、メニューは年に6〜7回更新。日本のみならず欧米からも食材を集めることができる国際都市・香港だからこそなしえる、世界中の厳選した最高の食材を使った特別な美味と出会えます。
「アンバー」のチャイニーズブレッグファスト。
もう一つの「アンバー」での楽しみが朝食。高い天井からたっぷりと陽光が注ぐ店内には、夜とはまた違った清々しさが漂います。テーブルを囲んで会議しながら朝食をとるパワーブレッグファスト中のビジネスマンも見受けられ、パワフルな香港の空気を感じます。一押しは、チャイニーズブレッグファスト。9種類もの薬味が添えられた中国粥や豆乳、点心といった中国の伝統的な滋味深い味わいが、一日の始まりに元気を与えてくれます。
Information
アンバー
The Landmark, 15 Queen’s Road Central, Hong Kong
- ◆ディナーコースは1人2068香港ドル〜+サービスチャージ10% ◆チャイニーズブレッグファーストは1人320香港ドル〜+サービスチャージ10%
鈴木ニーナ博美/Hiromi Nina Suzuki
エディター、フォトグラファー