最善を尽くしていれば、宇宙が良い方向に導いてくれる
私の好きな言葉に友人がよく使っていた「必然」っていうのがあるんですが、若い頃はそれほどピンとはこなかったけど、いまは自分が成長する上で必要な課題をそのときそのときで与えてくれたのかなって思います。試合で優勝するときも、ものすごく試されている感覚がありました。たとえば、短いパットが嫌だと思っていると、必ずその距離についてくるとか。そういうものは、いまの若い選手を見ていても思います。その人を作るのに必要なことなのかなって。
座右の銘は、自分が「道子」っていうのもあって、若い頃は「意思あるところに道あり」が好きでした。いまは「人間万事塞翁が馬」。昔は前しか見ていなかったけど、良いと思って調子に乗ったらじつはそうじゃなかったり、ダメだと思ったことが逆に好転したり…。年を重ねれば重ねるほど、人生とゴルフってすごく似ているって思うようになりました。
良いときも、やっぱり目に見えていないものがあるから、より気を引き締める。悪いときは、ひょっとしたら良い方向に向かっているサインなのかもしれないのでくさらず、ふてくされず。自分にできることをきっちりとやっていれば、それが肥やしになっていく。いつも最善を尽くしていれば、宇宙が良い方向に導いてくれるって、ちょっとおおげさなんですけどね(笑)。
代表候補の筆頭、渋野日向子選手を見守る服部さん。2019年のTOTOジャパンクラシックの練習ラウンドにて。ところで、私がイメージするオリンピックコーチは、選手の一番近くにいるサポーター的な存在です。先輩っていうと萎縮しちゃう部分があるかもしれないけど、これだけ年が離れているので、逆に話しやすいところもあるのかなと。選手にとって少しでもプラスになる環境を作れるように、それに気持ち的にもなんでも話してもらえるような、そんなサポーター的な感じであればいいかなと思っています。
写真協力/服部道子 取材・文/今岡涼太