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都通信記事一覧へ>>羊の乳のチーズばかりが並んだ、「フロマジュリー・ゴンクール」の一角。チーズ大国フランスの美味を持ち帰るなら?
情熱的な若きオーナーに注目のチーズ専門店3軒
(パリ特派員:大島 泉)
フランスの食事の要の一つがフロマージュ(チーズ)。“村の数だけチーズがある”とか、“フランスでは365日毎日違うチーズが食べられる”とか、かのドゴール将軍が「258ものチーズがある国を治めるのは至難の業だ」と嘆いたとか……。牛にヤギ、羊の乳、食べやすいハードタイプから癖の強いものまで、とにかくたくさんの種類があることは間違いありません。
フランスに来たら、ぜひ足を運んでみたいのがフロマージュリー(チーズ専門店)。今では、どこのお店でも外国まで持ち帰ることができるようにと、真空パックにしてくれますから、お土産にするのも簡単です。
パリに数あるフロマージュリーの中から、今回は、30代の若手のオーナーが情熱を持って経営している、今のパリならではのお店を3軒ご紹介します。
1.フロマジュリー・ゴンクール
ノルマンディーのチーズの中でも濃厚な、ウォッシュタイプの「リヴァロ」。型くずれを防ぐために周りに巻かれたイグサまで自家栽培しているという農家「ラ・ウセー」のもの。ハーフ7€。季節のもののみ店頭に並べる徹底したポリシー
まずご紹介する「フロマジュリー・ゴンクール」は、オーガニックや自然農法のもと屋外で育った動物の乳を原料にした、手作りのチーズだけを取り扱う、こだわりの1軒です。
もとは銀行で経営管理の仕事をしていたクレマン・ブロッソーが、チーズへの情熱から会社を辞め、自転車でフランス中にあるチーズの産地を巡り(走行距離の合計はなんと3500km!)、1軒ずつ農家と関係を作っていったのが、現在の仕入れ元となっているそうです。
創業者のクレマン。昔ながらの自然な飼育と製法で作られる季節のチーズ、となると、例えば冬の間は、ヤギはハードタイプしかありません。ヤギのメスは、本来12月から3月までは乳が出ないのだそう。一方、羊は近くにオスがいれば冬でもミルクが出るそうで、冬は羊のチーズが数々並んでいます。
店内には、パティスリーのような美しいガラスケースが目の高さにあり、チーズが種類別に陳列されています。一つひとつに、どの動物の乳か、どこの誰が作ったなんというチーズかなどの説明が丁寧に添えられているのが、なんとも親切。買いやすい大きさにすでに切ってあるものもたくさんあります。
羊の乳のチーズだけでもこれほどたくさんの種類が並んでいる。例えば右下の長方形のものは、クリーミーで食べやすい「ランゴ・ド・コカーニュ」。フランス南部のタルンの生産農家「ラ・ジネスタリエ」製。4€75。クレマンをはじめとするお店のスタッフに相談すれば、試食しながら選べます。予算や人数や希望をもとに、珍しいものもあれこれすすめてくれます。例えば、ハードタイプ、羊、クリームタイプ、ウォッシュタイプ、ブルーなどいくつか選んだら、どの順番で食べるのが最良かもアドバイスしてくれます。基本は、さっぱりしたものから始め、順に癖のある濃厚なものへ、というのが理想的な順番です。
丁寧な作り手のカマンベールはスーパーで買うのとは全く違う味。牛の飼育からチーズ作りまで一貫して行っている農家「ジュラン」の作。7€50(ハーフ4€)。クレマンのお父さまが集めてきたクルミの実をはじめ、チーズと一緒に楽しみたいワインやサラミ、クラッカーや、農場で作られたバターやクリームなども置いています。
Fromagerie Goncourt
(フロマジュリー・ゴンクール)
1 rue Abel Rabaud 75011 Paris
電話 +33 (0)1 43 57 91 28
営業時間 9時~13時、16時~20時30分(土曜9時~20時)
定休日 日曜・月曜
https://www.facebook.com/lafromageriegoncourt/