3.ラ・レトリー・ド・パリ
工房で手作りしたヤギや羊のチーズは熟成具合も好みに合わせて色々ある中から選べる。パリ市内でチーズを作るこだわりの1軒
最後にご紹介する「ラ・レトリー・ド・パリ」は、チーズを熟成したり販売したりするだけでなく、なんと牛乳を仕入れ、パリ市内の工房でチーズ製造を行っているという、注目のチーズ店です。
もともと、ナント地方でヤギの飼育やチーズ作りをしていたピエール・クーロンが、パリのチーズ店で働いた後に、クラウドファンディングで資金を集めて起こしたお店です。ビジネスを始めたきっかけは、ニューヨークやサンフランシスコで街中にチーズ工房ができた、というニュースを知り、チーズ大国のフランスの首都にこそそうしたお店がなければいけない、と考えたからだそうです。
お店の奥の工房で、ヤギのチーズを型から水切りするピエール。こぢんまりとしたお店があるのは、アフリカ系移民の多いモンマルトルの北のグット・ドール界隈の庶民的な商店街。ガラス越しに工房が見えるようになっています。
フレッシュなヤギのチーズからウォッシュタイプのチーズ、ヨーグルトやリ・オ・レ(米をミルクで甘く煮たデザート)まで、数々の商品が毎日作られています。牛乳は農家にとって適正な価格で、ピエール自らが国内の契約農場から仕入れています。作りたての新鮮さ、添加物は一切不使用の安心さ、そして、商品のオリジナリティの評判が口コミで広がり、2年前のオープン時は2人だったのが、今や工房とお店を合わせて9人のスタッフが働き、さらに大きくなろうとしています。
レバノン式に焼いて食べる「ハルーミ」は他にはないおいしさと評判。水を切り、フライパンでオリーブ油で表裏を焼き、レモン汁をかけるのが基本の食べ方。1kg29€90。北アフリカや中東からの移民の多い土地柄もあり、普通のチーズ店にはないようなオリジナル商品もあります。例えば焼いて食べる「ハルーミ」は、レバノン大使館員が黒塗りの車で乗り付けて買いに来るとか。新鮮さが格別のヤギのフレッシュチーズに柚子のコンフィを包んだものや、ヘーゼルナッツ入りのヨーグルトも人気です。フルーツフレーバーのヨーグルトに入っているフルーツジャムもすべて自家製です。
自家製ヨーグルトやデザートから。左上から時計回りにバナナヨーグルト4€50、リオレ(米をミルク煮したデザート)4€80、ヘーゼルナッツヨーグルト4€50、プレーンヨーグルト(羊)5€、プレーンヨーグルト(ヤギ)4€、プレーンヨーグルト(牛)3€50。各約450g。La Laiterie de Paris
(ラ・レトリー・ド・パリ)
74 rue des Poissonniers 75018 Paris
電話 なし
営業時間 15時30分~20時(土曜10時~13時、15時30分~20時、日曜10時~20時)
定休日 不定休
https://www.facebook.com/laiteriedeparis/ 大島 泉/Izumi FILY-OSHIMA
ライター、コーディネーター、通訳、翻訳者
東京生まれ、東京育ち。1989年にパリへ移住。現在はパリ郊外、サンジェルマン・アンレイ暮らし。