多くの監督が出演を熱望する俳優・渡辺真起子さん。高い演技力はもちろん、その独特の存在感が観る人の心をとらえてはなさない。もし自分がこの役を演じるのであれば難しいところがある
生まれたときに息をしなかった秒数、37秒。たったそれだけで障害を抱えてしまった貴田ユマが、自我と自立の一歩を踏み出し、成長していく姿を描いた映画『37セカンズ』。共に暮らす母は少々過保護。漫画家のゴーストライターをしているものの、自分の名前で大好きな漫画を描きたい。ある日、作品を持ち込んだアダルトコミック誌の編集長からの言葉は、「作家に経験がないのに、いい作品は作れない」。漫画を完成させたいユマは、歓楽街に出かけ、電動車いすを自在に操るクマや介護福祉士の俊哉、そして舞と出会い……。
ユマがファッションやメイクに目覚めるきっかけとなる舞。障害者を中心にサービスを行う風俗嬢です。脚本を手にしたとき、「もし私が舞という役をやるのであれば、難しいところはあるなと。50歳を迎えようとしていた頃だったので、健常者にとっても障害のある方にとっても、わかりやすい年齢のほうが、余計な物語がつかなくていいんじゃないかなと思って。要は、昔は人気者だったかもしれないけど、老いて今は……っていう。しょうがなく障害がある方を受け入れているっていうふうに見られたりするとキャラクターとして嫌だなって、そういうことは心配していました」と言うのは、舞役を演じた渡辺真起子さんです。