山中静夫を演じた中村梅雀さんの芝居に寄り添えば今井につながる
「今井が窮地に追い込まれたときに現れた山中さんに救われるというのが、ありがちなストーリーラインだと思うんですね。でも、この作品はそうではなくて。救われているように見えながら、実はとどめを刺されているんですよね(笑)。とどめを刺されて、復帰が不可能なくらいの病状になってしまう。だけど、苦しめられている気持ちはまるでないというか。この人(山中)が来てくれたおかげで、自分が目指しているターミナルケアに一筋の光が射し込んできたようにも見えて。でも、そうではなく、医師の限界を超えてしまう。ホントに深い話だと思います」
山中静夫は、中村梅雀さんが演じました。梅雀さんが演じた山中静夫は、「今まで見たことがないアバンギャルドでありながらチャーミングながん患者になっていた」といい、梅雀さんのお芝居は「あまりにも素晴らしかった」と津田さん。「役作りであったり、梅雀さんそのもののキャラクターといいますか、お人柄といいますか、それがそのまま山中静夫さんに反映されていましたので、僕はとにかく見つめていようというか……。梅雀さんのお芝居に寄り添おう、と」思ったと言います。それが、「そのまま今井医師につながっていくだろうというふうに思いました」。
物語の中に入り込んで、撮影終了時に「ここから出たくない」と思うことが稀にあるそう。本作も津田さんにとってそんな作品だった。