——中谷さんも、リミと同様に仕事を持つ女性の一人です。これまで仕事を続けてくる中で、求められるものが変わってきたと感じることはありましたか?
「単純に世の中の流れが、深いものを求めなくなったのではないかなと。私が演じるということを始めた頃からそういう傾向にはあったかと記憶していますが、それでもまだ天童荒太さんの『永遠の仔』ですとか、ものすごくヘビーな作品を求められることも多かったんですね。でも、時代の変遷とともに、人々は深く考えなくてはならないものを排除するようになったのかなって。それは、もしかして人々のリアルな人生が安易なものになってしまったから、あるいは困難になってしまったから、日常の苦しさからのエスケープを求めて、楽しいことラクなことを求めているのかなと思います」
——ふだん仕事をする上で、大切にしていることはなんですか?
「原作であったり脚本であったり監督であったりプロデューサーであったりが何を求めていらっしゃるのかをお伝えする、あるいはご覧くださる方々の気持ちを代弁するのが私たちの仕事なので、媒介に徹するようにはしておりまして。与えられた役柄に自分自身が思う女性像を反映できることもあれば、それが求められていることとまったく異なる場合は自分自身の価値観は置いておいて、演じることに徹するようにしています」
中谷さんいわく、仕事を続けられた理由があるなら、「いつでもやめられると思っていて。この仕事にしがみついていないからこそ」。