都(MIYAKO)通信 今世界の都では何がHOTなの――?! 東京・京都・金沢・パリ・NY・ハワイの6都市から、現地特派員が最旬ニュースをお届けします。木曜・金曜更新。
都通信記事一覧へ>>ハワイの昔ながらの製法で造られた美しい琥珀色のラム酒。© Kō Hana Rum(ハワイ特派員:土屋由美子)
地産地消グルメに欠かせない地元の食材だけでなく、生産者のこだわりが感じられるメイド・イン・ハワイの美味のクオリティの高さは、近年目を見張るものがあります。
コーヒーやハチミツ、チョコレート……。お土産としておなじみのものに加え、名産品として地元で造られたお酒も注目されています。
その中の一つ、冬のホットドリンクにもぴったりの、世界でも稀な製法で造られているラム酒を紹介します。
世界総生産量のわずか2%の
貴重なラム酒が生まれる蒸留所へ
ハワイ語でKō(コー)といわれるサトウキビ。古代ハワイにおいて、その葉は儀式に使われるスピリチュアルなもので、しぼり汁は薬用としても重宝されていました。
その一種、Manulele(マヌレレ)は、ラム酒の材料に適したサトウキビでしたが、製糖産業の繁栄とともに、絶滅の危機を迎えます。キャラメルやバニラの風味を思わせる、マヌレレサトウキビ。この品種に出会い、惚れ込み、古代ハワイアンの製法のラム酒を復活させたのが、
「コハラ・ラム蒸留所」の共同創業者ロバート・ドーソンさんとジェイソン・ブランドさんです。
オアフ島のワイキキから車で小1時間。ホノルル郊外のクニア地区、ワイアナエ山脈とコオラウ山脈の間に広がる自然豊かな風景の中に、かわいらしい外観の蒸留所があります。ここは1950年代、製糖事業を展開していたデルモンテ社の元ジェネラルストア(雑貨店)だった場所で、当時の建物を生かしたテイスティングルームは、レトロな雰囲気も味わい深いもの。
35エーカーの広大な敷地内でハワイ古来種にこだわったサトウキビを栽培。© Kō Hana Rumコハナ・ラムでは1回に出荷されるラム酒を造るのに、手作業で刈り取った4tのサトウキビからしぼり出される2tのサトウキビのしぼり汁を必要とします。ハワイの古来種のサトウキビにこだわり、しぼり汁をそのまま原料にした、昔ながらのアグリコール製法でラム酒を造っています。こうした製法をとることができるのも、畑にしぼり機があるため、刈った瞬間から劣化が始まるサトウキビをすぐにしぼることができ、畑のそばに蒸留所があるがゆえ。アグリコール製法で造られたラム酒は、全世界のラム酒生産量のわずか2%ともいわれるほど、貴重なものになっています。