京都&パリ ひみつの美味案内 世界の食都、京都&パリ。地元のグルメな方々に、現地に暮らすからこそ知っているおすすめの美味をこっそり教えていただきます。旅の計画にぜひお役立てください。
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まだ間に合う!
美味とともに冬の名残を楽しむ
2月限定の「酒粕うどん」1500円。厚揚げや京野菜などの具がたっぷり入り、おつゆは飲み干せる優しい味つけ。白味噌、酒粕、京野菜!
冬だけの美味を熱々うどんで堪能
(取材・文/西村晶子)
京都を代表するファストフードであり、昼ごはんに欠かせない料理といえば、うどん。
寒さ極まるこの季節はなべ焼きやあんかけが好まれますが、今回は、冬限定のメニューや他店では味わえない個性的なメニューに注目してみました。
訪ねたのは、だしの老舗が営むうどん専門店「仁王門 うね乃」。京都ならではの食材をたっぷり味わえる2品に、京都の冬を堪能できるはずです。
1.京都の冬の定番、粕汁仕立ての「酒粕うどん」で
体の芯までほっこり
京都ではなじみのある酒粕を使った粕汁風の「酒粕うどん」は、体の芯から温まる。まずご紹介するのは、2月のみ注文できる「酒粕うどん」。野菜たっぷりで、うどんつゆが個性的なこのうどんは、京都ではなじみのある酒粕を使った粕汁をベースにしています。
鮮度がよい純米酒の酒粕を使い、甘すぎずこくがあり、とてもまろやか。一般的な粕汁は濃厚でとろとろですが、こちらではうどんだしとして飲み干せるようにさらっと仕上げています。水菜や鳴門金時、厚揚げ、こんにゃく、しめじなど、具だくさんです。
つるつるキラキラのうどんは、厳選した香川産小麦と瀬戸内の海水塩を使用した自家製。お酒の香りがほのかに感じられ、体の芯まで温まり、食べ終わる頃にはポカポカ。生の芹が添えられ、シャキシャキとした食感と香りに春の兆しが感じられます。
2.地元の食材を結集した「白味噌のなべ焼き」は
うどんにして立派な“京料理”
夜限定の「白味噌のなべ焼」2000円。上品な甘みとこくの白味噌仕立てのだしで味わう人気メニュー。季節によっては牡蠣を使うことも。通年オーダーできるメニューですが、夜限定の「白味噌のなべ焼き」も冬向きの1品です。
米麹を多く使った白味噌は香りと甘みがあるため、料理に加えるとうまみが増します。京都ではお雑煮や西京焼き、田楽など、寒い季節の料理によく使われます。
うね乃で使われている白味噌は、米麹だけで作った「関東屋」のもの。たっぷりとだしに溶いておつゆに仕立てています。まろやかな味噌の甘みは牛肉と九条ねぎとの相性もよく、日常的な料理のうどんが一気に京料理と化します。
うどんを引き立てるだしは、鹿児島県産の鰹、熊本県産の鯖、うるめいわし、高知産の宗田鰹、利尻島産の天然昆布を使用。厳選された具材にも注目です。数多くの京都の料理人が信頼を寄せる精肉店「中勢以」の熟成肉、京都の料理人たちからはねぎ名人と呼ばれる九条の農家から直接仕入れる、柔らかくて香りのいいねぎを使っています。まずはそのまま味わい、途中でからしを加えるとおつゆがぐんとクリアになり、このおつゆもおいしく飲み干せてしまいます。
3.だしの老舗、料理人、京都の四季が作り上げる上質の味
こちらのお店はオープンから約6年と京都では比較的新しいお店ですが、営むのは1903(明治36)年創業のだしの老舗「うね乃」。
利尻昆布、鰹の厚削り、ミックス節、宗田鰹、花鰹などの乾物を加えた贅沢なだしにこだわり、厳選した調味料でうまみとこくのあるうどんつゆに仕立てています。京都ならではの柔らかくてこしのある細麺、京野菜などの具材を合わせ、メニューの一つひとつに京都らしさを盛り込んでいます。
空間にも器にもセンスが感じられる。昼時は行列ができるが、11時30分入店のみ予約可能。夜はお酒やおうどん鍋(前日までの要予約)も楽しめる。料理長が長年京都の料理店に務めていたこともあり、旬の食材や季節感のあるうどんが毎月登場し、夜は一品料理やコース料理(要予約)が楽しめるのも魅力。
3月には「蛤と菜の花のなべ焼き仕立て」、「青海苔うどん」などの期間限定うどんが登場する予定。訪れるたびに京都の四季を感じられる美味に出合えます。
京都の昔ながらの優しいだしが自宅でも楽しめる、うね乃オリジナルだしアイテムも販売。仁王門 うね乃
京都府京都市左京区新丸太町41
電話 075-751-1188
営業時間 11時30分~15時(LO)、16時30分~19時(LO)
定休日 木曜、週2回不定休
http://www.odashi.com/ 西村晶子/Shoko Nishimura
関西を拠点に、京都の食や文化、人、旅を幅広く取材、編集。長年、『家庭画報』の京都企画を担当し、さまざまな記事を執筆。最近の書籍の仕事に『
旨し、うるわし、京都ぐらし』(大原千鶴著)がある。
表示価格はすべて税込みです。 撮影/福森クニヒロ