サックスの可能性を軽やかに切り拓く
上野耕平(うえの こうへい)
1992年、茨城県出身。東京藝術大学音楽学部器楽科を卒業。史上最年少で日本管打楽器コンクールサクソフォン部門の第1位と特別大賞を受賞。2014年には第6回アドルフ・サックス国際コンクールで第2位に輝く。「1840年代にできた新しい楽器なので、吹くのは簡単なんですが、そこから音色をどう極めていくかが難しい。僕は自分の中の“歌”を大切にして吹くようにしています」と話す上野耕平さん。
驚くほど美しい音色と豊かな表現力で、聴く者を次々と虜にしているサクソフォン(サックス)奏者だ。
2014年に、サクソフォンを考案したベルギーの楽器製作者、アドルフ・サックスの名を冠した国際コンクールで第2位を受賞。
同年、始祖への畏敬と挑戦を込めて、サクソフォンのために書かれた曲ばかりを収めたアルバム『アドルフに告ぐ』でCDデビューした。
昨年2019年12月にリリースした『アドルフに告ぐⅡ』は、その第2弾。
委嘱作2曲を含む多彩なアルバムになっており、なかでも気鋭の作曲家・藤倉 大さんによる新曲「ブエノ ウエノ」は、上野さんと和太鼓奏者・林 英哲さんの共演が楽しめる、レアな意欲作だ。
「学生時代に英哲さんの生演奏に感激して、いつかご一緒したいと思っていたんです。それで藤倉さんに、サックスと和太鼓の曲をお願いしました。ほかの曲も、聴けば聴くほど面白みが増していくものばかり。ぜひ、試しにちょっと聴いてみてください」
8歳で入った吹奏楽部で初めてサックスを手にし、小学6年生のときにはプロの奏者になると心に決めていたという上野さん。
「その音色にも、繊細な表現と迫力ある演奏の両方ができるところにも惹かれます。数ある楽器の中でも、ジャンルを超えて音楽を表現できる最強の楽器だと思います」
2020年5月には、そんな上野さんとサックスの魅力が堪能できる人気コンサート企画『上野耕平のサックス道!』の第2シリーズが始まる。
「誕生してまだ180年くらいしか経っていないサックスの可能性は、無限大。それを探し、深めながら、海外を含めて、よりたくさんの人たちと共有していきたいです」
『上野耕平のサックス道!Season Ⅱ Vol.1』
『アドルフに告ぐⅡ』COCQ-85478 3300円浜離宮朝日ホール2020年5月22日19時~
全席指定4500円
イープラス:03(5449)6829
※2月15日より前売り券一般発売
公演の詳細はこちら>> 表示価格はすべて税込みです。
取材・構成・文/岡﨑 香 撮影/寺澤太郎
『家庭画報』2020年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。