『靴ひも』
ドメニコ・スタルノーネ 著
関口英子 訳/新潮社 1900円若い恋人をつくり、妻とふたりの子どもを置いて家を出た夫。
そんな夫への憤怒や侮蔑、哀願がないまぜになった感情を、手紙に書き続ける妻。
DNAから逃れることなんてできやしないと自嘲するように、今も幼少期の家庭環境の影響を引きずっている兄妹。
40年前、妻が夫に宛てた9つの手紙から始まるドメニコ・スタルノーネの『靴ひも』は、その激情的な筆の運びで読者を圧倒する第1の書から、夫の回想、そして両親をめぐる兄妹の会話へと、異なるスタイルで書き継がれてゆく家族小説。
“家族や夫婦について語ることは、人間がおかれたあらゆる素晴らしさと恐ろしさについて語ることを意味する”という著者のことばが胸に落ちる。
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『家庭画報』2020年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。