骨董も京都も、そこに紡がれた歴史と物語が人を惹きつける
名勝・渉成園など京都の魅力も存分に映し出された本作。両親が京都出身の中井さんと、京都の酒蔵が実家の佐々木さんが、2月の京都を広末さんにおすすめするとしたら?
中井 「紅葉や桜の季節は人で溢れかえっているし、夏は異常な暑さなので、この時期は寒さ対策さえすれば、普段は混んでいるお寺さんをゆっくり回るのに狙い目の季節ですよね。僕は大好きです」
佐々木 「2月の朝は、空気が刺すように冷たいけれど、とても澄んでいて、気持ちが引き締まる感じがします。貴一さんがおっしゃるとおり人も少ないですし、気持ちよく散策できると思います」
中井 「南禅寺の湯豆腐も、夏より冬に食べたほうがおいしいですよね」
佐々木 「南禅寺は朝粥もありますよ」
広末 「寒いのが苦手で冬の京都は敬遠していましたが、今のお話を聞いて、むしろ冬の京都に行ってみたくなりました」
中井 「僕は新しいものよりも、歴史や物語をまとった古いものが好きなんです。この映画に出てくる器のように、人から人の手に受け継がれていくものには歴史があり、物語がある。京都の町のよさもそこだと思います」
佐々木 「僕自身、この映画を通して陶芸がすごく身近になりました。ただ、自分で焼いたものは分厚くなってしまうのが嫌なんです。なかなか理想どおりにはいかないです」
「陶芸を始めて、子どもにお茶碗を作りました」── 広末涼子
広末 「わかります。私も実は、3年前から陶芸をしていて。去年の夏、留学する長男に私が作ったお茶碗を持たせました。下の子たちにもサイズ違いを作っているところです。陶芸や茶道をしていると、いままで感じたことのない時間や空気の中にいるようです」
中井 「茶道のように“道”がつくものは、すべて精神なんですよね。器やお茶の値段ではなく、お茶を点てる人、いただく人の気持ちが“道”ということ。そのよさは、年齢を重ねないとわからないものかもしれませんね」
佐々木 「僕はいまだにわからないです(笑)。でも、この映画が僕にとってそうだったように、何かの入り口になればと思います」
中井貴一(なかい きいち)さん
1961年、東京都出身。81年、映画『連合艦隊』でデビュー。83年、ドラマ『ふぞろいの林檎たち』(TBS)で一躍人気俳優に。88年、NHK大河ドラマ『武田信玄』に主演。2003年『壬生義士伝』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。近年の出演映画に『花戦さ』、『空母いぶき』、『記憶にございません!』などがある。
佐々木蔵之介(ささき くらのすけ)さん
1968年、京都府出身。大学在学 中から劇団「惑星ピスタチオ」の看板俳優として活躍。 2000年、NHK連続テレビ小説『オードリー』で注目さ れる。以降、ドラマ、映画、舞台と幅広く出演。主な代表作に『間宮兄弟』、『超高速!参勤交代』、『嘘八百』などがある。NHK 大河ドラマ『麒麟がくる』に出演中。映画『記憶屋 あなたを忘れない』公開中。待機作に映画『峠 最後のサムライ』、舞台『佐渡島他吉の生涯』など。
広末涼子(ひろすえ りょうこ)さん
1980年、高知県出身。94年にデビュー。映画『太陽の家』が公 開中。WOWOWのドラマ『ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~』第3話(2020年2月7日放送)に出演。2020年4月に映画『ステップ』公開予定。
『嘘八百 京町ロワイヤル』
© 2020「嘘八百 京町ロワイヤル」製作委員会監督/武 正晴
脚本/今井雅子、足立 紳
音楽/富貴晴美
配給/ギャガ
出演/中井貴一、佐々木蔵之介、広末涼子、友近、森川 葵、山田裕貴、坂田利夫、前野朋哉、木下ほうか、塚地武雅、竜 雷太、加藤雅也
公式URL:
https://gaga.ne.jp/uso800-2/TOHO シネマズ日比谷ほか全国公開中 取材・文/須永貴子 撮影/江原英二〈Astro〉 スタイリング/勝見宜人(佐々木さん) 道端亜未(広末さん) ヘア&メイク/藤井俊二(中井さん) 西岡達也〈ラインヴァント〉(佐々木さん) 山下景子〈KOHL〉(広末さん)
『家庭画報』2020年3月号掲載。
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