除菌者が胃がんで命を落とさないよう年1回、内視鏡による検査を実施する
一方、ピロリ菌を除菌すれば胃がんにならないと考える人がいますが、ピロリ菌に荒らされた胃粘膜は元には戻りません。
栗原先生は、除菌者が胃がんで命を落とさないよう除菌治療後のフォローアップを重視し、年1回、内視鏡検査による胃がん検診をすすめています。
ピロリ菌がいなくなっても胃がんのリスクはなくならない
また、胃がんリスク検診でピロリ菌がいないと判定されても安心はできません。
「ピロリ菌が生息できなくなるほど胃粘膜の萎縮が進行していることがあるからです。この場合、胃がんを発症するリスクは最も高くなり、その発症率は年間80人に1人といわれます」。
衛生状態の改善によりピロリ菌感染は減ってきたものの、いまだに3000万人未満もの感染者がいて、その5~8割を50歳以上の中高年者が占めるともいわれます。
「胃がんは予防できる数少ないがんの1つです。ハイリスク者である中高年者は、内視鏡検査を受けたうえで感染が疑われる場合は必ず1度はピロリ菌に感染しているかどうかを確認しておきたいものです」。
Information
練馬総合病院
東京都練馬区旭丘1-24-1
- 練馬総合病院 外科ピロリ外来 案内 〔主なスタッフ〕看護師4名、臨床検査技師3名、事務員1名 〔主な連携先〕一般外来、内視鏡センター、健康医学センター、近隣の医療機関・保険薬局 完全予約制。診療時間は、第2・第4火曜14時~15時30分。受診を希望する場合は、健康医学センター(TEL:03-5988-2246)に電話で予約する。受診の詳細については病院のHP「ピロリ外来のご案内」をご覧ください。 受診の詳細についてはこちら>> 〔費用〕 【保険診療】胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃がんの内視鏡治療後、慢性胃炎 ※内視鏡検査による判定が必要 【自費診療】三次除菌治療、薬剤アレルギーで保険治療が困難な場合など、ピロリ菌に関する相談
【参考情報】 ●ピロリ菌除菌を実施している医療機関を探したいとき 日本ヘリコバクター学会では、ピロリ菌除菌治療の正しい知識を修得した医師を「ピロリ菌感染症認定医」として認め、学会HPで一覧を公開している。また、除菌治療後は年1回、内視鏡検査によるフォローアップを受けたほうがよいので、内視鏡検査を得意とする医師のいる医療機関で除菌治療を行うのが望ましい。日本消化器内視鏡学会では「消化器内視鏡専門医」の名簿を学会HPで公開している。 日本ヘリコバクター学会「ピロリ菌感染症認定医」 http://www.jshr.jp/medic/doctor/ 日本消化器内視鏡学会「消化器内視鏡専門医」 https://www.jges.net/medical/specialist/member-list?ref=citizen
取材・文/渡辺千鶴 撮影/八田政玄
『家庭画報』2020年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。