京都&パリ ひみつの美味案内 世界の食都、京都&パリ。地元のグルメな方々に、現地に暮らすからこそ知っているおすすめの美味をこっそり教えていただきます。旅の計画にぜひお役立てください。
これまでの記事を読む>> 【2月の美味案内】
まだ間に合う!
美味とともに冬の名残を楽しむ
(取材・文/西村晶子)
寒さ厳しい冬のごちそうといえば「かに」。11月に漁が解禁となり、3月末頃まで楽しめます。京都では街中の料理店で味わえますが、鮮度を求め、わざわざ産地の丹後に出向く人も少なくありません。造りに焼きがに、かにすき……とかに尽くしのコースがお決まりですが、今回は、ちょっとお洒落なかに尽くしディナーをご紹介します。
「かにのグリル、カプレーゼ仕立て」。野菜がたっぷり楽しめ、デザートには久美浜産のフルーツを使用。1.丹後半島・久美浜のプチホテルで、かにディナー&ワイン
ご紹介する「Heron(ヘロン)」は、2部屋だけのコテージスタイルのホテル。天橋立の宮津から城崎に向かう途中の、久美浜という小さな町にあります。あまりなじみのない土地かもしれませんが、丹波と但馬の文化圏が交わるエリアで、ホテルが建つのは久美浜湾と栃谷川の出合うウォーターサイド。客室からは静かに澄み切った久美浜湾やかぶと山が見え、のどかで静かな時間を過ごせるホテルです。
かにのパエリア。鶏がらと野菜でとったフォンで丹後米を炊き上げ、かにをトッピング。冬のディナーの主役は、近海で揚がる松葉がに。かに尽くしで、冬の滋味満載のコースです。料理はオーナーである須田悦子さんの手作りで、素朴で家庭的な味わい。凝った料理でないことがかえってうれしく、友人のゲストハウスでご馳走になっているようなあたたかな気分で楽しめます。「かにといえば、かにすき、造り、焼きだ~」と和食びいきの人もびっくりの、かに料理の連打。須田さんの工夫を凝らした味に「コレもあり!」と満足でき、ワインと食べたい人は「コレしかない」と笑みがこぼれるはずです。
2.今冬始まった、かにのシーズン限定のプラン。丹後の魅力を目で舌で堪能
かきのオイルコンフィ。かきは1月からサイズが大きくなり、ぐんとうまみが増す。かにそのものはもちろんのこと、野菜もおいしく、自家菜園のハーブをたっぷり使った、優しくヘルシーな料理ばかり。かにのグリルにトマトとバジル、チーズを合わせたカプレーゼ仕立ては、魚介も野菜も豊富な久美浜の地産地消の一皿。ディナーのメインとなる季節のパエリアにもかにを使い、かきをチョイスすることもできます。かきも久美浜の特産品のひとつで、パエリアにかきを選ぶと殻付きかきのオーブン焼きの一品が付き、かきのオイルコンフィも絶品です。
殻付きかきのオーブン焼きと、かきのパエリア。冬以外もシーフードメニューが充実。うれしいことに、2020年は3月末まで4名限定で、かに尽くしのディナー(かきのチョイスは応相談)を含む1泊2食&翌日昼食のセットプランが用意されています。チェックアウト後は、オーナーが車で案内してくれるアテンドツアーも付き、4人で10万円!(税別)
目で、舌で、冬の久美浜、丹後半島を満喫でき、心身のリフレッシュにおすすめです。
コテージ風の平屋にあるツインルーム。天井と床は杉材に柿渋塗り、壁は本漆喰ですべて天然素材。家具調度品にもオーナーのこだわりが感じられる。久美浜の自然に触れ、肩の力を抜いて過ごせる空間。併設のレストランは食事や喫茶だけの利用も可能。ヘロン
京都府京都市丹後市久美浜町2983-1
電話 0772-82-0101
定休日 木曜
※かに、かきは3月中頃に終わることもあるので、予約時に確認を。
http://www.heron.jp京都の記事一覧はこちら>> 西村晶子/Shoko Nishimura
関西を拠点に、京都の食や文化、人、旅を幅広く取材、編集。長年、『家庭画報』の京都企画を担当し、さまざまな記事を執筆。最近の書籍の仕事に『
旨し、うるわし、京都ぐらし』(大原千鶴著)がある。