• TOP
  • 美容
  • 身近になっていくゲノム編集。遺伝情報とは何か?医療への期待の一方、課題も

美容

身近になっていくゲノム編集。遺伝情報とは何か?医療への期待の一方、課題も

2020.03.13

  • facebook
  • line
  • twitter

臨床応用には確実性、子孫への影響、倫理に懸念


とはいえ、ゲノム編集はまだ完璧な技術とはいえず、「計画どおりにDNA配列や塩基の削除や挿入ができる確率はまだ高くありません」と松原さん。

また、ねらいどおりに編集できたとしても、ヒトの病気の治療などに応用した場合、なんらかの有害な事象が起こらないかどうかは長い時間を経ないと検証できないのです。

特に大きな影響があるのは、不妊治療などのために医療機関に保管されている受精胚(受精卵を培養液で培養して、何回か細胞分裂させたもの)に対してのゲノム編集です。


受精胚の段階でゲノム編集をすると、ほぼ全身の細胞がゲノム編集された後の細胞になります。そのため、重い遺伝病では「究極の治療法となりうる可能性がある」(松原さん)

半面、その編集されたゲノムは子孫にまで伝わります。つまり、後戻りができない状態にもなるのです。

さらに、ゲノム編集を使って、親が好ましいと考える外見や体質を持つデザイナーベビーを作ることも可能になるかもしれません。

そのような懸念から、フランスやドイツでは法律でゲノム編集の基礎研究と臨床研究を禁止しています。英国では臨床研究は禁止、日本でも研究に関する法律や指針の制定について議論が始まりました。

一方で、これまで治療ができなかった難病をターゲットにした、ゲノム編集による治療薬の臨床試験が進んでいます。

次回は、医療におけるゲノム編集の利用の動きやその未来について、さらに詳しく紹介します。

体と心が解かる 生き方が変わる 「未来の医療」

病気の超早期発見から予防まで!? マイクロRNAの拓く未来

AI(人工知能)による画像診断で、未来の医療はどう進化するのか

ロボットとの触れ合いが認知機能の衰えを防ぐ?未来の医療

今話題の「オンライン診療」メリットとデメリットは?

医療の見直しが始まった今、「賢明な選択」のために患者ができること

【病気やケガ】治療方針を決める際、大切にしたい4つのプロセスとは?

進化する「がんゲノム医療」の現状と未来について。一人一人のがんには違いがある

遺伝子を調べてがん治療に生かす、最先端「がんゲノム医療」とは?

アップルウォッチで心電図、センサー内蔵の飲み薬も登場!最先端医療「IoMT」って?

治療支援アプリって?乳がん患者の副作用に特化した「フリックカルテ」開発者に聞く

がんの新しい免疫療法として注目の「免疫チェックポイント阻害薬」

免疫チェックポイント阻害薬の実用化で進展「複合がん免疫療法」

医療政策の立案や医学研究の計画に「患者や市民の参画」が進んでいる

患者・市民が立案段階から参画することで、よりよい医学研究へ

機器のネットワーク化によって収集された手術データを意思決定や合併症予防に生かす

適用できる部位の広がり、競合企業の出現で、ますます進んでいくロボット支援手術

健康調査と組み合わせ、健康増進と疾患研究を目指す「住民ゲノムコホート研究」

高齢者特有の病気や生活に計画的に対応する訪問診療

訪問診療医がコーディネーターになり、医療・介護専門職のチームで患者の生活を支える

医療の安全性と精密性を向上させる現実空間とデジタル空間の融合

医療への期待と倫理的・医学的な懸念が併存「身近になっていくゲノム編集」
取材・文/小島あゆみ イラスト/tokco〈LAIMAN〉(タイトル) にれいさちこ(本文)

『家庭画報』2020年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
  • facebook
  • line
  • twitter

12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2024 / 11 / 22

他の星座を見る

Keyword

注目キーワード

Pick up

注目記事
12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2024 / 11 / 22

他の星座を見る