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京都の歴史ある寺院へ“現代の襖絵”に会いに行く

2020.03.11

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襖

《舟出》。型紙を用いて図柄以外の余白部分を切り落とし、その空間を糊で防染して図柄を染め出す「型染め」という日本古来の技法を用いて新しい絵画の世界を切り拓いてきた鳥羽氏。2014年に奉納された襖絵は絹織物の白山紬を染め上げ、襖に仕立てられた。

建仁寺×鳥羽美花 作
【舟出】


臨済宗建仁寺派の大本山である建仁寺は1202年の開創。大伽藍と美しい庭園で名を馳せる京都最古の禅寺です。


なんといっても俵屋宗達作・国宝《風神雷神図》(現在は複写を展示)が有名ですが、一方で現代の絵師が筆をふるった作品が見られるのも拝観の楽しみ。

たとえば、法堂の天井に描かれた《双龍図》は日本画家・小泉淳作氏によるもの。そして小書院で出会えるのが、染色画家・鳥羽美花氏が手がけた襖絵です。

「舟出」を描いたダイナミックな青の世界、対照をなすように裏側には《凪》と命名された墨のモノトーンの絵。

いずれも鳥羽氏がベトナムの水辺の風景に着想を得て、日本独自の染色技法である「型染め」を駆使して2014年に描き上げました。

制作にあたっては「禅とは何かを自らに問い、時の移ろいを表現した」と語ります。近づいて水の揺らぎを感じるもよし、「潮音庭」から新緑や紅葉ごしに見晴らすと、ダイナミックな構図が際立ちます。

「正面から見ても十分美しいですが、右端から見ると水が迫ってくる錯覚に。その違いをぜひ体感してみてください」
──建仁寺派 庶務部 浅野俊道さん


船出

なめらかな水面に光が差し込み、一艘の舟がさざ波を起こす。《舟出》で描かれているのは、山の後ろから太陽が昇った後の風景。

凪

《凪》では墨絵のようなモノトーンで月が山の端に沈む寸前の静けさを描いている。凪いだ水面は山の姿と満月を映している。

建仁寺
住所:京都市東山区大和大路通四条下ル小松町
TEL:075(561)6363
拝観日:通年拝観可能(行事等により休止の場合あり)
拝観時間:10時~16時30分
URL:http://www.kenninji.jp
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