東京2020ゴルフ女子日本代表コーチ服部道子のRoad to 2020~必然に導かれて~ 東京2020ゴルフ女子日本代表コーチに就任した服部道子さん。日本の女子ゴルフ界はいま、畑岡奈紗、渋野日向子選手ら“黄金世代”の出現により、世界でも有数のゴルフ強豪国へと変貌しています。代表コーチとしてメダル獲得の使命に向き合う服部さんは、その一方で妻、そして一児の母としての日常もあわせ持つ。このコラムでは、そんな飾らない普段着の視点から、大役に挑む素顔に迫っていきます。
前回の記事はこちら>> 2013年9月8日のことは、とてもよく覚えています。ちょうど私の誕生日で、10月に長男出産も控えていたので、ひょっとしたらなにか良いことがあるんじゃないかな?っていうワクワク感で、国際オリンピック委員会の総会をテレビにかじりついて観ていたんです。その数年前、ゴルフがオリンピックに復帰するって聞いたときは、正直びっくりしました。ゴルフがオリンピック種目だという概念がなくて、まさかという気持ちでした。それが、テレビの中で2020年の開催地が「TOKYO!」って発表された瞬間に、「ゴルフでもオリンピックのメダルを獲れる!」と熱くなり、ぐっと距離が縮まりました。
世界での大舞台を経験する「黄金世代」に特に注目!
代表筆頭選手のひとり、渋野日向子選手と。2019年NEC軽井沢72ゴルフトーナメントにて。写真/日刊スポーツ/AFLOいま、日本の女子ゴルフ界は黄金世代の出現により非常に競争力が上がっています。昨年は、渋野日向子さんが全英女子オープンで日本人42年ぶりの海外メジャー優勝を成し遂げました。それまでその期待を一身に背負っていた畑岡奈紗さんも、もう一度挑戦者の気持ちになれて、その後の国内メジャーで圧巻の2連勝。代表争いで3位の鈴木愛さんも、日本開催の米女子ツアーTOTOクラシックで優勝しました。若い世代がお互いに切磋琢磨して、勝ち切れる選手が出てきてくれた。世界の大舞台での見えない壁を、渋野さんが全英でぶち破った。オリンピックの金メダルを心底狙えるマインドにしてくれたことは、大きな功績だと思います。
現在、女子世界ランキング4位の畑岡奈紗選手。写真/AP/AFLOオリンピックのゴルフ競技が行われるのは、埼玉県にある霞ヶ関カンツリー倶楽部です。2016年にトム・ファジオが改修しましたが、一番変わったのはグリーンとバンカーです。グリーンはアンジュレーション(起伏)がきつい。絶対に行っちゃいけないところに外すと大変なことになる。でも、各国を代表する世界最高峰の選手達はこのシチュエーションも攻略してくると思います。パーセーブだけだとどんどん離されてしまうので、ピンを狙うアイアンショットの精度や攻め方が大事になる。それに、スコアを積むためにはボギーを極力減らさないといけない。グリーンを外したときのリカバリーもポイントになると思います。
オリンピック代表選考は大会直前の6月末に決まります!
各国を代表する全60選手は、6月29日時点の世界ランキングを元にして決まります。同ランク15位以内に入っていれば各国最大4人まで、それ以下は最大2人までのランキング上位者が選ばれます。6月には海外メジャーも2試合あるし、それまでの代表争いで選手たちは相当疲弊すると思われます。そこから1か月の準備期間で調整するのはなかなか難しいですが、日本は若くて勢いのある選手が多いので、無理をしてケガをしないよう、うまくピークを持っていってほしいです。