藤野幸信さん 365日の贈り花ダイアリー 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが手がけたブーケやアレンジメントで綴る365日の花日記。贈り花のある、素敵な暮らしのヒントをお届けします。
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「スズランの日」に恋人へ贈るサプライズのブーケ
5月1日は「スズランの日」です。フランスには古くから5月1日に、愛する人やお世話になった方へスズランを贈る習慣があり、スズランをもらうと幸運が訪れるといわれています。その習慣がいまでは広く世界に知られるようになりました。
ヨーロッパではスズランは春を象徴する花として大切にされ、その鈴型の花は幸せのシンボルとして花嫁に贈る習慣もあったそうです。
フランスが発祥のこの花の記念日は、日本ではまだそれほど知られていないと思っていたのですが、スズランの日に彼女にブーケを贈りたい、というオーダーをいただき、とても嬉しい気持ちになりました。
サプライズの贈り花で、彼女を喜ばせたいという男性の気持ちに応えるために、奥信濃と呼ばれる長野県飯山市の「JAながのみゆき」から取り寄せていた、とっておきの根付きスズランを使うことにしました。
合わせる花はライラックで決まりです。ライラックもフランスでは「リラ」と呼ばれ、とても愛されている花木です。スズランとライラック、どちらもこの時期の花の中では香りのよいツートップ!束ねていると、ほんのり甘く心地よい香りが漂い、それだけで幸せな気持ちになってきました。
根がついたままで出荷されるスズランは、鮮度が高く、幅広の葉もいきいきしています。その鮮度のままにお届けしたくて、根を切らずに束ねました。
真っ白いスズランと薄紫色のライラック。シンプルながらさわやかで気品のある花色合わせのブーケにのせて、恋人を大切に想う男性の気持ちが伝わりますように。
そして、この日のスズランを贈り合う素敵な習慣が、日本でももっと広く普及することを願っています。
【使用花材】スズラン
ライラック ブルー
贈り花のヒントスズランの記念日は5月1日ですが、日本ではもっと早く4月半ばくらいから庭や野山でスズランが花期を迎えています。
切り花ではさらに早く早春の頃から出回るのでスズランの記念日に合わせた出荷が今シーズンのほぼラストになります。スズランを贈りたいと思ったら、急いで花屋さんにお出かけください。
ちなみに園芸用も切り花のスズランも、ドイツスズランと呼ばれる種類で、日本原産のスズランより花も草姿も大型です。ドイツズスランは、香水の原料に利用されるくらい香りがよいことでも知られています。
下の写真をスワイプしてご覧ください。
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を卒業後、花の道に進んだ異色の経歴。店名のtrémoloは音楽用語で震音を表し、「感動で声が震える」ことを意味する。感動する花束を多くの人に届けたい、という思いから、市場を頼らず、自ら生産者情報を入手して、お気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。制作したブーケのアップを続けているフェイスブックから人気が広がり、全国各地から贈り花のオーダーが届く。月刊『フローリスト』などの雑誌の連載や表紙などでも人気。
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誕生日、結婚記念日、ウエディングなど、78例のブーケ&アレンジメントを色別に掲載しています。オールカラーの大判の単行本で楽しむ、藤野さんのナチュラルでエレガントな花の世界は、眺めるだけで幸せな気持ちに。色別花図鑑コラムや全国の生産者データなどお役立ち情報やインデックスも充実。大切な人へ花を贈る際のヒントが満載です。